第三十一話 総司令官が現れる時

「つまり、前回乗船しなかった面々の中から今回日本に向かう人を選ぶ、そういう事ですね」


神楽の母が改めて確認する様に問いかけるとマルティー人の代表者は


「そうです、無論それでも安全とは言い切れませんが少なくとも顔をしられている可能性は低いでしょう」


と言ってその人選を行おうとするがその直前に代表者が持つ通信端末に通信が入ってくる。


「申し訳ございません、少々お待ち頂けますか?」


代表者はそう告げると通信に応対するがその直後に表情が変わる。


「こ、これは……え!?了解しました……」


顔色が変わった代表者がそう告げると神楽の母は


「何があったんですか?」


と問いかける。

すると代表者は


「皆さん、申し訳ございませんが少し移動して頂けますか?我々の総司令官マルチェス様が皆様と直接お話をしたいという事です」


と告げる。


「総司令官が?しかし、移動するといっても何処に?」

「皆様がサミットを開催されたというビルをお貸し頂けますか?そのビルであれば出席者は全員収納出来るでしょうから一度にお会い出来ます」


代表者がそう告げると男性スタッフは即座に連絡を取り


「今直ぐに出来るのですか!?分かりました」


とスマートフォンに向けて大声を出した所で通話を切る。


「どうだったのですか?」


近くに居た女性スタッフが問いかけると男性スタッフは


「本来であれば通すのは不可能な案件だけど今回は起こっている事態が事態なだけに特別に貸し出してくれる事になったよ」


と会場が確保出来た事を報告する。


「だとすれば善は急げですね!!席順はサミットの時の物を流用しましょう」


女性スタッフもそう告げると一同は直ぐに移動を開始し、国際連合ビルへと向かう。

そしてビルに到着しすぐさま準備を整えると代表者は大会議室に立ち


「皆さん、只今より我が方の総司令官マルチェス様が直接お話をしたいと言う事です。

急な此方の申し出に対応して頂き、誠に感謝致します、それでは」


と言うと自身が持ってきた通信端末の画像を浮かび上がらせる。

するとそこには初老の男性というべき外見の人物が居た。


「地球の皆様、この度は此方へのご協力大変感謝しております。

私はマルティー軍総司令官のマルチェス・イシュター」


男性は自己紹介を行い、自身の事をマルチェスと名乗ると更に


「此方でも最近確認出来た事なのですが、反逆者側が分断してその一部を戦力に取り込むという手法を用いているのはどうも地球が初の様です」


と告げる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る