第二十九話 開かれる時

マルティー人の宣言で解散した後、一同は各自自分の部屋に戻るとそのまま寝具に倒れ込むようにして眠ってしまう。

それ程までに疲労が蓄積するレベルで様々な事が起こったと言えるだろう。

そのまま翌日まで目覚めはしなかった、だが翌日の朝の目覚めは余り爽やかなものでは無かった。

神楽の両親が眠っている部屋に翌日早朝、部屋の外から足がバタバタと足音が聞けおてくる。


「み、皆さん……早く起きて下さい!!」


その足音が止まると同時に部屋に飛び込んできたのはサミットやマルティー人が初めて来た時に来た男性スタッフであった。

そしてその足音も飛び込んできた状況もマルティー人が初めて現れた時に酷似していた。


「一体何があったんですか?マルティー人が初めて現れた時と同じ様な状況で飛び込んできて……」


神楽の母がスタッフに問いかけると


「と、兎に角早く来て下さい!!」


と男性スタッフは二人を連れて外に出ていく。

そして外に出た神楽の母と父は空を見上げてその表情を凄まじい物に変える。


「こ、これは……」


神楽の父が空を見上げた時、そこは一面が紫色に変化していた。

その光景はサミットの当日、高御が姿を見せた時の状況をまるで再現したかの様な広がりを見せていた。


「この空の色……あの時と同じ……ではこれは……」


神楽の母がそう告げると同時に空に高御の姿が映し出される。


「地球の皆さん、お久し振りですね。

最もつい先日私達の同士と会った方もいらっしゃるようですが」


高御がそう告げると神楽の父は


「こいつ……ふざけた口を……」


とその表情に怒りを隠せない、だが無論高御はそんな事を気にする事は無く

「しかし、その方達が私達が玄関を開ける前に強引に入ってきたのは感心いたしませんね。

そんなに私達の所に来たいのであれば堂々とそう告げれば良いものを。

私達はそこまで許容が狭い存在ではありませんよ」


高御はそう告げる。

だがその瞬間に特に何かが変わった様な様子は見られない、誰もがそう思っていた。

だが次の瞬間


「これは……皆さん、これを見て下さい!!」


と男性スタッフが手に持ったタブレットを見せる。

するとそこには紫の光が消滅したデトロイト州や香港、スーダン周辺の国やイギリスが映し出されていた。


「これは……紫の光が消滅している!?」


大黒がそう叫ぶとスタッフは


「ええ、つまりここで行き来が出来るということにはなると思うのですが……」


と行き来が出来る様になった可能性は告げたものの、その顔は何処か暗い。

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