内部生
その後、学校内の立ち入り禁止区域やら禁則事項など細かい説明が終わり、入学式が終わった。
生徒たちがワラワラと講堂を後にして行く。
人混みを避けたいのもあり、俺は少しばかり遅れて列の後ろを歩いて、周囲を観察していた。
通路に置かれていた妖精の彫刻に目をやる。
ふむ。何やらあの目の中から視線を感じるな。
壊して中身を調べてみるという選択肢もあったが、入学早々に目立つような真似は避けた方が良いだろう。
動く床の廊下を渡り、蛇柄の螺旋階段を登り切る。
城の中腹に当たる教室。そこがAクラスの教室だ。
「なぁ。おい。聞いたか。昨夜のこと」
「知っている。マルスのやつ、外部生に頭突きを食らって、入学式から学校休んでいるらしいぜ」
教室の中に入ると会話が止まり、ほぼ全員の視線が向けられる。
俺は特に気にすることもなく空いていた後部座席へと移動する。
どうやら今日時点では座席は指定制ではなく、生徒が自分で自由に選べることが出来る形式らしい。
「な、なんというか。もの凄くアウェーな空気ッスね」
「そうか? これくらい別に普通だと思うがな」
でもまあ、テッドの場合、無理もないか。
生まれた時から眼のことで迫害を受けている俺とは違って、テッドは他人から悪意を向けられることに慣れていないのだろう。
これは後になって知った話であるが、アースリア魔術学園に在籍する生徒のうち8割は『準備校』なる育成機関から上がってきた内部生たちらしい。
準備校の出身者の両親は、教育熱心で金銭的に余裕がある、上流貴族が多いことから、内部生たちの中には歪んだ選民思想が芽生えることが多いのだとか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます