第2話自画像

自画像

自画像のことを考えなければならない。自画像なんて簡単じゃないか。自分の顔を描けばいい。


あしたも行くべきとこへ行かなきゃ。眠ると嫌な翌日がすぐ来てしまうような気がする。起きていれば少しは時間稼ぎができるかも、と思う。


今日も行くべきとこへ行かなきゃ。

今日で二時間目となる自画像の時間。やっぱり来るべきじゃなかったな、と思う。「自分の顔は描いてはいけません」と言う。ひねくれたものだ。やっぱり来るべきじゃなかったな、と再度思う。著しく後悔する。窓の外はいいな、と思う。同級生が妊娠したらしい。「わぉ!十四歳の母じゃん!」と誰かが言った。いま流行りのドラマか映画の名前だと思う。私にはまだ乳歯が生えている。同級生は妊娠した。窓の外に興味がある。窓の外には自由な人がたくさんいるだろうと思うから。自画像にがんじがらめで白紙な頭の中が痛々しいと思う。そしておしゃべりクラブも待っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る