百合少女戦闘記

猫本クロ

第一章 入学試験

第1話 いざ受験会場へ

魔獣から国を救うためにある国家組織が立ち上がり、日本に一つだけ専門の学園都市を作り上げた。



正式名称【魔獣襲撃対策学園】、略称“DBS”。



倍率は非常に高く、募集人数の百人中一人が合格できれば良い方。


試験内容は試験官をどんな攻撃手段を利用してでも試験官を納得させること。柔軟な発想や特殊な技を身につけている者が合格の基準となっている。


生半可な覚悟では不合格になるのは分かりきったことだ。しかし、この学園を卒業できた生徒は《魔獣襲撃対策軍》略して“DB”の一員として軍を守ることが許される。






▼△▼△


そんな学園に一人の少女が龍が象られた鍔をもつ一振りの刀を腰に差して受験会場へと向かっていた。


少女の名前は外山戮トヤマリク。よく整った顔立ちと、短く切りそろえられた黒く短い髪の毛。そんな容姿をしているので少年と見間違うかのような姿だ。


そんな戮の元に走り寄ってくる一人の人影があった。戮の背後に近寄ると思い切り手のひらで尻を叩く。


パンッと景気の良い音がすると同時に戮は片手で尻を押さえながら後ろを振り返った。



「いってぇ!何するんだよ凛。」


「辛気臭い顔してるからだよ。おはよ、戮。」



ニコッと笑顔で長めの茶髪の少女は言った。少女の名前は如月凛キサラギリン。彼女もまた、背中と両腰に長い組み立て式の槍を背負っている。



「凛みたいにそんな機嫌よく居られるワケ無いだろ?……だって今日は受験の日じゃないか。」



いつもの事ながらテンションの高い凛にションボリとした顔で戮は凛のことを見つめていた。


凛は戮と目が合うと笑顔を作りながら胸を張って堂々と宣言する。



「だって私、自信あるもん!誰にも負ける気がしないよー?」


「こういう時だけは凛の楽観的な所が羨ましく感じるよ……」


「大丈夫だって!魔獣が相手なわけじゃないんだから。」



バンバンと戮の肩を叩く凛。そして前方を指差して笑い、『ほら!』と戮に語りかけた。



「そんなこと言ってても会場着いちゃったよ?さあ、覚悟決めて行こー!」


「わかった、やれるだけやってやる!」


「そうそう、そう来なくっちゃ!」



凛は戮に手を差し伸べてくる。戮はそれを力一杯握り締めると凛と共に、会場の受付へと駆け出して行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る