第27話 人類崩壊


 放課後いつだったかな? 忘れた。

 俺はその時誰かがいじめを受けているのを目撃した。こう言ったことが嫌いであった俺は止めに入っていた。そこからだったか、俺が標的にされたのは。

 いじめが何故起こるのか、それはいじめを行う当人の性格によって理由は異なる。またその時の状況に応じても変わってくる。

 もし主犯が負けず嫌いであったとするならば──憶測に過ぎないが──何処かで被害者に負けたと思った時である。本人は負けたなんて、ほんのこれっぽっちも思ってはいないが心の奥底では闘争心が燃え上がり。その負けたところを埋める様に、違う分野で勝ちに行く事が原因である。それが悪い方へ行ったのがいじめなのだ。

 彼の場合は正しくそうだった。

 子供の頃からヒーローに憧れていた彼は、いつしか反対側の人間へと回っていた。それでも彼の根幹にある意思は正義なのである。言うなれば彼は暴力で解決するあまり、暴力が目的になってしまったのだ。目的と仮定が入れ替わることはよくある話だ。彼もソレの被害者とも言える。


 その後日、他クラスの男子に呼び出され、そこに向かうと五、六人が待っていた。


「ここへ呼び出してどうする?」俺はなんとなく聞いてみた。


 そこで男子連中が睨みを利かせ近寄り。


「お前、最近調子に、乗ってる有栖川だろ。聞いたぜ、お前友達少なくてボッチなんだろ?人助けて友達でも作るつもりだったのかよ!?」


 言い終わると周りの男子も笑い出す。


「見逃してほしかったら、謝れや」

「それで一体なんになるって言うんだ」


 怒り狂ったように頭に血管を浮かばせ、俺の胸倉を掴む彼。


「今の状況が分からねーのか!!」


 こうなって仕舞えばどうしようもない。

 強硬手段に出る。

胸倉を掴んでいた手をねじりその隙にお腹に一発拳を叩きこむ。

 殴られた男子は腹を抱え倒れこんでいる、それを見た他の男子が殴りかかって来るが、

 一人一人投げられ、殴られ蹴られ、返り討ちにされ攻撃できたものは居なかった。


「いや~ 少しは武術を習って良かった。やってなかったら絶対こっちがケガしたよ」


 横たわり痛がっている男子達を後目に帰ろうとすると、後ろから誰かが走って来る音が聞こえた。振り返ると、昨日あの男子達にいじめを受けていた男子だった。


「昨日は助けてくれてありがとうございました!」

「いや、お礼はいいよ。それより君の傷の方が心配だ」


 見ると名前も知らない相手は顔に怪我があったりしていた。


「たぶん大丈夫です」


 にこやかに笑いながら彼は言ったが、痛いのを我慢しているのは誰でもわかった。


「そういえば名前も聞いてなかったね、俺は二年二組の有栖川だ」

「あ!僕は二年三組の綾崎 聖貴よろしく」



 僕を助けてくれた有栖川君と一緒に帰ることとなった、その帰り道で僕は何故強いか聞いてみることにした。


「有栖川君はどうやってあんなことで来たんですか?」

「ちょっと、習ってたんだ」


 顔のお表情を変えずにそう答えた人の姿を横から眺めていた。

 

 

 

 今でも聖貴とは仲良くしているし、俺の大切な知り合いだ。

 そんな過去の思い出に浸り懐かしむが、また頭の奥底へと置きいた。

 実際俺は家具を置いてまでこんな時間の潰し方をしたのには理由がある。勿論英国人の様にティータイムをしたかったわけではない。少し強引なやり方だったが、相手の様子を窺う事が目的だった。あのやり方では警戒され進展がないリスクがあったが。計算通りとまではいかないが、ある程度相手の能力を知る事ができた。結果的に実験台となったこいつは殺すのは可哀想だから少し寿命を削るだけにしてやろう。


 ヒロトの目に吸い寄せられる様に、目を合わせた魔道士の端くれは。その顔が段々と恐怖に染まって行く、ヒロトの目をよく見るとそれは余りにも恐ろしかった、眼球の奥底は無く、この世の者とは思えない霊たちが眼球の中で死の世界へと誘っていた。


 その眼と眼を合わせた瞬間彼の顔は徐々に恐怖に染まって行く。それでも終わらず、彼の髪の毛は先の方から白くなり、大きく見開いていた目には黒目は無く気絶した人間の様に白目になっていた。見た目三十代半ばが、七十歳の老人に見える。


(うわ!ここまで行くか、十年分の寿命しかとってないぞ)


「お前何をした!俺の部下を直せ」

「それは出来ない相談だ、こいつは俺の仲間に攻撃を行い俺たちの邪魔をしたからな、前者の答えを言うと、寿命を取ったとゆうべきか?」

「そ、そんなことが・・・」


 余りの事に絶句してしまう、寿命を取る魔法などは聞いたことも見た事もない、人を生き変えさせる魔法なら王国の第二王女が使え存在しているが人寿命を奪い取る魔法など。余りにも強い


「何時から気付いていた!」


「何がだ?」


「俺たちがここの住人でないことだ」


「勿論、この村に来て騎士を倒したあとの村人が集まっていた時に何と無く感付き、貴方に招待された家で確信していた」


「何故、気付いた」


 ヒロトはその質問の意味が解らず、少々漠然としたが理解し呆れた。


「簡単だ、いくら村でも子供の一人もいないのは先ずおかしい、それに女は居ても二人だ、それに、俺が家に入っている間に他の人が何もしなさすぎるのと、隊長さん?かどうかは知らないが、君が持ってきた地図が余りのも細かく書かれていたことだ、俺が思い付くのはこれくらいだ・・・・・少なかったな

 ま、これくらいなら普通に世の中で暮らしたら、子供でも違和感に気付く」

「所でオーストはいくつ気付いた?」

「私もヒロト様と同じ数気付きました、誇らしいです」


 にこやかに笑い返答してくれた。

 それは嬉しいな、と笑顔で返す。

 俺よりも賢いと思われるオーストと同等なのは、正直うれしい。


 しかしこのまま、眼の前の敵と無駄な時を過ごしているより、上空からくる仲間の超範囲攻撃を避けるために準備した方がいいな。


「ではオースト撤退の準備を始めるぞ。車に戻ってくれ」

「ヒロト様は戻らないので?」

「いや、俺はあの隊長から情報を手に入れてから戻るよ」

 

 オーストは「わかりました」とだけ言って車の方へと歩いていく。

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