淫魔追放～猥褻ギフトを授かったせいで帝都を追われるも、エッチなこと（一人遊びも含む）をするだけで超絶レベルアップ～

第155話 男根バイブレーションアタック

　ブイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「は――？　ぐああああああああっ!?」

　魔剣による鉄壁の防御を固めるシグマの眼前で、僕が男根を全力で振動させた瞬間。

　まるで空間を揺らし伝う防御不能の破壊衝撃波を食らったかのように、シグマが悲鳴をあげた。

　いや、悲鳴をあげただけじゃない。

　まるで内蔵に直接ダメージを負ったかのようにシグマが血を吐く。

　さらには隠し持っていたらしいポーション管や魔道具の類いが粉砕されたようで、その全身から様々な液体が染みだしていた。

「ちょっ、なんだこの威力!?」

　その様子を見て僕は驚愕の声をあげる。

　振動する騒音男根でなにかしらの隙を突ければと思って発動させたスキルだったけど、隙を突くどころの騒ぎではなかった。

　鉄壁の魔剣防御を完全スルーした凄まじい衝撃波が一方的にシグマを叩きのめしていたのだ。

　望外の効果に僕は思わず拳を握る。

　……のだけど、

「ちょっ、うるさっ!?」

　その頭が凄まじいほどの震動は、シグマ以外にも影響を与えていた。

　全方位にバラ撒かれるブイイイイイ!!!の爆弾。

　震動部位が僕たちから少し離れているからシグマのようなダメージはないけど、僕やイリーナさんの傷にも震動が響く。

　加えて震動の影響はそれだけではなく――ビシッ、バキィ！

「っ!?　壁が!?」

　全方位に継続してバラまかれる衝撃波は、それまで僕たちの戦いの余波にもギリギリ耐えていた地下空間の壁や天井にまでダメージを入れつつあった。

　さすがにこれはヤバイと思い、一度震動を停止させる。

　途端、

「く、そが……！　なんだっつーんだいまの攻撃は……!?」

　吐いた血を乱暴に拭いながら、シグマが即座に僕から距離をとった。

　魔剣防御を貫通された事実に動揺している様子だけど――その身のこなしは思いのほか軽い。スキルＬｖが低いせいか。どうやら男根振動による衝撃波は防御を完全貫通する代わりに威力はそこそこで、レベル３００超えの戦士を一撃でノックダウンさせるほどではなかったらしい。

「ふざけたスキル使いやがって……！　けどその攻撃、地下（ここ）じゃ多用できねーだろ！」

「――っ！」

　言って、即座にこちらの弱点を見抜いたシグマが爆速でこちらに突っ込んできた。

　確かにこの地下空間じゃこの震動攻撃は多用できない。

　加えて超接近戦に持ち込まれれば、震動がこちらにも響いてしまうだろう。

　けど、

「こうすればどうだ!?」

　ブイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!

　僕は手に持った男根を再び全力で震動させた。

　ただし、股間から伸びたアダマンタイト男根で、震動男根の周囲を囲うようにして。

　それは例えるなら、遠くに呼びかける際、口の周りに手をかざすような形。

　それによって指向性を持たされた震動がシグマに叩きつけられる！

「なっ!?　があああああああああああっ!?」

「よし！」

　防御不能の衝撃波が、今度はシグマとその周囲だけを襲う。

　指向性を持たせることで収束した震動は威力も向上しているらしく、シグマの魔剣操作精度はガタ落ちしていた。

　いまなら――！

「うりゃああああああ！」

　可能な限り震動を継続したまま、鏖魔剣の妨害をくぐり抜けて接近。

　そして震動を止めた瞬間に全力の蹴りを叩き込む。

　レベル３３０に達した〈淫魔〉の身体能力。そして〈異性特攻〉によって増した膂力がシグマを容易く吹き飛ばした。

「がああああああっ!?」

　悲鳴をあげてシグマが地面を転がる。

　咄嗟の魔力防御で僕の攻撃を防いだらしく、まだ立ち上がる余裕はあるようだった。

　けど魔剣による鉄壁も崩されたいま、シグマにもう勝ち目はほとんどない。

　そんな彼女にトドメを刺すべく駆け出した。が、そのとき。

「クソが……こうなったら……！　全員死にさらせやああああああ！」

　ボゴオオオオオオオオオオオオン！

　シグマの周囲を凄まじい爆発が包み込んだ。

　地下の崩落を狙った自爆覚悟の心中攻撃!?　

　いやこれは――逃げる気か！

「逃がすかあああ！　男根震動！」

「があっ!?」

　爆風に乗って逃走を図ったその人影を僕は見逃さない。

　凄まじい速度で移動するその影に、文字通り音速の一撃を叩き込んだ。

　震動によってシグマの動きが鈍る。

　次の瞬間、

「かたじけない、エリオ殿！」

　震動に全力を費やす僕に変わって、その巨大な影が動いた。

　身体の回復に努めながら、じっと戦況を伺っていた歴戦の猛者。

　イリーナ獣騎士団長がその巨大な武器を両手に突進する。

　それは、僕の身の丈よりも巨大な斬馬刃型の不壊武器。

　収束された震動の着弾範囲外からでも余裕で攻撃できる頑丈な長物だ。

　つまるところ結末は、

「沈めシグマああああああああ！」

「――っ!?!?　があああああああっ!?」

　男根震動によって動きを阻害されたシグマへ一方的に叩き込まれる、国家最強クラス全力の一撃。

　ドゴオオオオオオオオオオン！！

　最後の抵抗か、シグマが男根振動を食らいながらも強力な爆破魔法を発動させる。

　けれどそれもほとんど効果はない。

　爆破を意に介さず振り抜かれた斬罵刀によってシグマが吹き飛び、魔道具で強化されているはずの壁をぶち抜いていった。

「ようやく……ようやく仕留められた。あなたのおかげだエリオ殿」

　残り少ない魔力のほとんどを最後の一撃に叩き込んだせいか、肩で息をしながらイリーナ獣騎士団長が僕に頭を下げてくる。

「しかし迂闊だった。あんな状態でもなお爆破で回避しようとするシグマに攻撃を当てるため、不用意に吹き飛ばしてしまったな。某（それがし）の全力を食らった以上はもうろくに動けないだろうが……早く捕縛してしまわねば」

「ですね」

　言って、僕たちはシグマが吹き飛んでいったほうへ即座に走る。

（それにしても……シグマはこのあとすぐ仲良しすればいいとして、あの鏖魔剣とかいう呪剣はどうすればいいんだろう）　

　恐らくシグマを凶行に走らせた元凶である魔剣。

　震動攻撃はおろか、男根剣・煌や不壊武器での一撃さえ耐え抜いたあの呪われた魔剣をどうにかしなければ一件落着とはいかないんじゃあ……。

　と、僕が危惧していたそのときだった。

「「――っ!?」」

　シグマを吹き飛ばしていった先から、鏖魔剣とはまた違う、強大な気配が流れ込んできたのは。

　それはまるで、いままでその気配を隠蔽していた結界が破壊されたかのような唐突さで。

「この先になにが!?」

　僕とイリーナ獣騎士団長は血相を変えてシグマの元へ走った。

　脳裏をよぎるのは、〈強王派〉がこの隠しアジトに大量のモンスター素材を集めなにか企んでいるという推測。

　そして辿り着いた先で見つけたソレに、僕たちは目を見開いた。

「……っ!?　なんだ、これ……!?」

　地下空間に広がるバカでかい空間。

　そこで鎮座していたのは――いままさに化物が生まれようとしているかのように脈打つ、直径数十m（メドル）を超える巨大な肉塊だったのだ。

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今回のボスは一筋縄ではいきません。