第66話 スロー仲良し


 ステイシーさんが全裸だったのは、正気を失っていた僕がすべて服を剥ぎ取ったからだった。幸い、破り捨てたのではなく優しく丁寧に剥ぎ取ったらしく、服は不自然に破れていたりはしない。


 なのでセッ〇スしないと出られない異空間内に散らばっていた服をなんとかかき集めてステイシーさんに着せると、なんとか〝女帝〟としての体裁が整う。


 それから僕らは「セッ〇しないと出られない異空間」を脱出した。

 異空間にはいつの間にか大きな扉が出現していて、そこが現実空間へと繋がっていたのだ。


 そうして僕たちが異空間を脱出した先は案の定、僕がヤリ部屋生成スキルを発動させた夕食会の会場。すなわち女帝旅団の拠点のど真ん中だった。

 ヤリ部屋生成スキルはその場で異空間を生成するため、使い手である僕が異空間内に入ってしまうと出入り口がその場で固定されてしまうらしい。


 ……で、まあ、言うまでもないだろうけど、僕たちが夕食会会場に帰還したことで女帝旅団は大騒ぎになった。


 まあ当然だろう。

 旅団構成員からすれば旅団の長であるステイシーさんが丸一日以上行方不明になっていたのだから、これ以上の事件はない。

 必然、一緒に消えていた僕とアリシアは「姐さんとどこ行ってやがった!?」と大勢の旅団構成員に問い詰められることになったのだけど、


「やめなさい。私は平気だし、この子たちは旅団に大きな利益をもたらす大切な客人よ。この子たちに危害を加えることはもちろん、詮索することも固く禁じるわ。それと、今後この子たちが冒険者として問題なく活動できるよう、あらゆる方面から支援してあげなさい」


 アリシアにがっつり命令されたステイシーさんの言葉がすべての詰問を封じ込めた。

 ステイシーさん本人は「ぐぬぬ……っ」と悔しげに僕らを睨んできたし、構成員たちも「え!? ちょっ、姐さん!? どういうことです!?」と面食らっていたけれど……旅団にとってトップの命令は絶対。


 問答無用で僕とアリシアへの支援を表明するステイシーさんの言葉により、僕らは無事に女帝旅団の本拠地を脱出。

 ステイシーさんを拉致したことへの報復を受けるどころか、女帝旅団そのものを半ば支配することに成功してしまうのだった。


      *


 さて、そうして女帝旅団とのいざこざを強引に終結(?)させたあと。 


「ア、アリシア? さすがに丸一日くっつきっぱなしなのはまずいというか、僕がステイシーさんのスキルであんなことになって不安だったのはわかるけど、ほら、〈精神支配無効〉のスキルも出たし、もうあんなことにはならないからそろそろ……」

「……ダメ。まだイチャイチャする」


 宿に戻った僕は、その後丸一日、アリシアにくわえ込まれた状態でずっと抱きしめられていた。激しく求め合うのではなく、入れっぱなしの状態でほとんど動くことなくキスをしたりを繰り返すイチャイチャ特化の仲良しだ。

 

 どうもアリシアは僕がステイシーさんに盗られそうになったことがよほど嫌だったらしく、僕の身体全体に自分の匂いを擦りつけるように甘えてくるのだった。

 その様子はすっごく可愛いかったけど、やっぱり一日中っていうのはよろしくないね……。頭がくらくらするや……。


 と、そんなこんなでアリシアとの仲直りックスも終え一段落したところで、僕たちはようやく頭を切り替える。


 女帝旅団とのいざこざですっかり失念しかけていたけれど、僕たちがこのダンジョン都市サンクリッドにやってきたのは、教会から身を隠すと同時に、自分たちの力を高めるため。


 すなわちダンジョンでしっかり鍛錬することが最大の目的だったのだ。


 決して女帝と〈主従契約〉を交わしたり、アリシアと「絶対に抜いてはいけない仲良し24時」をするためじゃない。


 そんなわけで僕とアリシアはたっぷり仲良くしたあと、装備を調え本格的にダンジョン攻略を開始するのだった。



 ――――――――――――――――――――

 しばらく濃い内容が続いたので、今回はあっさりめ。

 今後はダンジョン攻略などを行ったあと、また仲良しですべてを解決するパートへいく予定です(ちなみに、女帝旅団とのゴタゴタは割とまたすぐ出てきます)。


※2021/10/14 一部描写を若干修正しました

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