第25話 アリシアの性長(ダンジョン攻略の代償その1&その2)
「お前ら、この短期間で武器を酷使しすぎだ! こんな頻度で手入れに来てたらいくらあたしが作った武器でもすぐガタがきちまうぞ!」
ダンジョン爆発によって出現した大量のダンジョンを攻略する過程で振るいまくった武器を見て、鍛冶師のウェイプスさんが叫んだ。
ドワーフとのハーフであるウェイプスさんは綺麗な黒髪を振り乱し、整った顔を歪める。それから大きく溜息を吐くと、半ば感心したような、半ば呆れたような複雑な様子でアリシアに目を向けた。
「特にお前。あたしのやった「風切り」がこんなに消耗するなんざ、普通ならありえねえ。一体どんな威力で剣を振ってんだか。会ったときから思ってたが、やっぱとんでもねえ〈ギフト〉持ちだろお前」
アリシアに向けられたその言葉に僕はギクッとする。
ウェイプスさんの言う通り、アリシアは〈神聖騎士〉という伝説級の〈ギフト〉を授かった身だ。繰り出すスキルの威力も高く、手加減しても武器にかかる負担がかなり大きくなってしまうのだった。
帝都から追っ手がかからないようアリシアは正体を隠していて、そのせいで人前ではあまりおおっぴらに力を使えない。なので他人の目がないダンジョン内ではついついはしゃいでしまうようだった。
とはいえウェイプスさんはそのあたりの事情を詮索するつもりはないようで、すぐに話題を武器へと変える。
「ったく。いまはまあ武器のほうもなんとかお前の力を受け止められてるが、このまま成長してけば半年後か1年後か。まあそう遠くないうちにダメになるだろうな」
「え、そんなに早くですか?」
ウェイプスさんの言葉に僕は目を剥く。
ウェイプスさんに譲ってもらった武器「風切り」は武門貴族育ちの僕たちから見てもかなりの一品。それが1年もたないかもしれないと聞いて、ダンジョン攻略でレベルアップを繰り返す〈神聖騎士〉の成長性に驚かされる。
僕の場合はたまに男根剣も交えて戦うからそうでもないけど、アリシアの場合は「風切り」1本に負担が集中するから余計に消耗がでかいらしい。
「武器の見立てであたしが間違えるなんてこたぁねえよ。悪いことは言わねえ、いまから次の武器を調達する準備を始めといたほうがいいぜ。この嬢ちゃんの力をまともに受け止められる武器は魔法剣くらいしかねえだろうしな」
「魔法剣……」
それは名前の通り、様々な魔法効果の込められた武器のことだ。
所有者の攻撃力アップや魔法攻撃属性搭載といった特殊効果もあれば、切れ味増大というシンプルな効果が付与された武器もある。
〈聖騎士〉の代名詞である聖剣もそのうちの1つで、強靱な不壊属性が付与されている代物だった。ゆえに聖剣は国防の任を任せられるほど強い〈聖騎士〉たちの代名詞なのだ。
だけど当然、そんな武器を入手しようと思えばそれなりの代償があるもので……、
「お前らはあたしが気に入ったお得意様だしな。格安で武器を作ってやりてえが、魔法剣となるとそう簡単にはいかねえ。大金を積まねえと手に入らねえ素材も多いし、いまからしっかり貯めいてもらわねえとあたしの懐だけじゃどうにもならん」
ウェイプスさんの言う通り、魔法剣の作成には膨大なお金がかかる。
発展途上とはいえ〈神聖騎士〉の力に耐えるだけの不壊属性を付与しようと思えば、それこそ目が飛び出るような額がかかるだろう。
父さんは困ったことがあれば連絡しろと言ってくれたけど……いくらなんでも聖剣を作れるほどの資金援助なんて頼めるわけがない。
唐突に降って湧いた無理難題に、「ウェイプスさんって魔法武器まで作れるんですか!?」という疑問を口にする余裕もなかった。
アリシアが強くなるのは良いことだけど、帝都を追い出された僕にはソレを支えるだけの甲斐性がないのだと痛感させられる。
「……エリオの足手まといにならないよう、お金、稼がないと」
アリシアが「ふんす」と気合いを入れるも、さてどうしたものやらと僕は途方に暮れるのだった。
さて、それがアリシアの急成長によって生じた1つ目の問題。
そしてもう1つは……夜の営みに関することだ。
「……ふーっ❤ ふーっ❤ エリオ、好き、大好き……❤ だからもう一回だけ……ね? もう一回しよ……?」
「わ、わかったよアリシア。もう一回だけだよ?」
ダンジョン攻略で定期的にレベルが上がるようになって以降、アリシアの夜の体力増強が止まらないのである。レベルが1上がるごとに着実に回数が増えていく。
幸いにして、アリシアの体力増強はいまのところ絶倫で十分対処できる程度のものだ。
男根形状変化と、それからここ最近のレベルアップで新しく芽生えたとあるスキルの効果もあり、アリシアを短時間の間に満足させて眠りにつくことができている。
けどもしこのまま今の成長率が続けば、アリシアを満足させるのに文字通り一日中「仲良く」しないといけない未来がきそうだと僕は震えているのだった。
「多分いつか、おちんちんの数が足りなくなる……」
1年後か、それとも10年後か。
来る性欲のシンギュラリティに備え、いまから対策を練っておく必要がある。
「となると……いよいよあのスキルを試してみるしかないか……」
アリシアが可愛らしい寝息を立てる横で僕はステータスプレートを表示する。
男根再生Lv3
検証するのも怖いからと見て見ぬ振りをしていたスキルに、僕はついに手を伸ばすのだった。
エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル85
所持スキル
絶倫Lv8
主従契約(Lvなし)
男根形状変化Lv8
男根形質変化Lv6
男根分離Lv4
異性特効(Lvなし)
男根再生Lv3
適正男根自動変化(Lvなし)
↑NEW!!
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2020.11.8 追記
すみません、26話あたりからちょっと読みづらい構成になってしまっているので、もし途中で「うーん」となってしまった方は42話の直後にある「第1部後半まとめ」で各話概要をチェックしたのち、第2部へ以降していただいても大丈夫です。読みやすい構成に戻す予定です。
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