第34話 童貞ボーイだった

「これは、まだ極秘だが、如月キララをメインに青年誌を立ち上げる予定だ」


「えェ……😲💦💦 本当ですか❓❓

 なるほど」

 創刊号で、如月キララの名前があればハクがつく。


 今回の読み切りは、そのための布石なのか。



「だから頼んだぞ❗❗」

 胸元をバシッと軽く裏拳で叩かれた。

 

「い、痛いですよ……」

 まったく手荒い激励だ。




 僕の名前は、玉井 ショー



 セレブでイケメン、帝都大卒の高学歴、高身長、オマケに運動神経も抜群で非の打ち所がない。



 自分で言うのも嫌みに聞こえるだろうが、学生時代からモテて仕方がなかった。



 バレンタインはチョコでカバンが一杯になって困るほどだ。

 段ボールに入れて持って帰ったこともある。


 本校からは勿論のこと他校の女子からも、しょっちゅう逆ナンもされた。



 しかしそんな僕にも唯一、誰にも言えないがあった。



 いずれ劣等感そのことについては、話すことがるだろう。

 

 男性おとことしては最悪のウィークポイントだ。



 信じられないだろうが、そのコンプレックスのために僕は未だに、【童貞チェリーボーイ】だった。


 




 ※。.:*:・'°☆※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆






 シェアハウス【パラダイス】。




 ここの一室に、漫画家の如月キララが住んでいると言われていた。



 見上げるほど大きな屋敷だ。

 まさに豪邸と言っても良いだろう。


 門にそなえられたインターフォンを押した。



 少し間が空き、不意にテンションの高い声で応答があった。


『キャッキャッキャァ~~ー……ッ✨✨💕💕

 ようこそ❗ いらっしゃァ~~ーい❗❗❗

 イケメンさァ~ん❗❗』

 若い女性の声だ。興奮してはずむように喋っている。



「ど、どうも…… 如月キララ先生はご在宅でしょうか」

 なにか、様子が可笑しいが丁寧に尋ねた。





 



∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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