第32話 エロ漫画家 如月キララ

 あの【夏の日】から時が流れた……。



 あの日の出来事からすぐに、美少女の正体が解かった。



 Tシャツの胸元に描かれたヌードのイラストが決め手だ。



 天才美少女エロ漫画家の【如月キララ】のキャラクターだった。


 どうりで見覚えのある絵柄だと思った。




 如月キララ。


 日本一で、もっとも有名な【エロ漫画家】だ。

 


 小学校二年生で、エロ漫画家として鮮烈なデビューを飾った。



 『ヤリ漫』シリーズは、二十年近く連載を続けている。

 おそらく世界一売れたエロ漫画だ。



 何しろアイドル顔負けの美少女が信じられないほど、過激な性描写を描くのだ。

 

 これ以上の宣伝効果はない。

 センセーショナルで、話題性は充分だ。

 


 当然、出版段階では修正が入る。



 だが、原稿はしっかりと性器が描かれてあった。


 小学生の美少女が堂々と無修正の合体シーンを描くのだ。



 当然、社会問題にも発展した。



 賛否両論、もちろん否定する方がほとんどだったが、そんな中、キララはメジャー誌にも連載を始めた。

 さすがに過激なエロシーンはカットされた。

 

 しかし圧倒的な人気と作品のクオリティで否定論者を駆逐していった。



 その間もエロ漫画を量産していた。

 年間、二万ページ。



 新刊を百冊発行し、ギネス記録を更新した。



 売り上げも半端ではなかった。

 出版界の救世主と持て囃された。

 


 如月キララの作品が掲載されれば、数十万部発行部数が伸びると言われた。




 僕が帝都大を卒業し、角○出版へ入社したのも、如月キララの編集担当になるためだった。



 入社早々、漫画編集部の編集長から仕事を依頼された。



「おい、玉井❗❗」

「あ、ハイ……」編集長直々に呼ばれ、少し緊張した。



「さっそくで悪いが、キララ先生の担当を頼むよ」



「え、マジ…… いえ、本当ですか❓❓」









 

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