可愛いくて綺麗で頭が良くて運動神経が良くて病弱でお金持ちで幼馴染の子は、ホントは優しい。

ライトニングブロッカー 教

第一章 幼き頃の追憶の記憶。

第1話 瑠璃色の思い出。

 幼稚園の頃の記憶。


 俺と女の子が砂場で遊んでいる。


「わいのわいの!」

「きゃはきゃは!」


「ちゅういちくん、あいちあうふたりは、けっこんするんだって!」


「へー!( ゚Д゚)」


「あたちとけっこんしてくれる!?」


「いいよ!」


「わーい!」


 俺と女の子は大笑いしながら、両手を繋いでグルグル回った。




 その数日後。


 幼稚園の先生と女の子が教室の前に立っていた。


「この子は親の都合で引越しします。バイバイしましょうね」


「「「うわああああああああああああああああああああああああああああ!」」」


 教室中の子供たちが涙の大合唱をする。


 でも、俺は泣かずに、無言で女の子に近づいた。


「・・・」


「・・・ちゅういちくん」


 女の子は目の端に涙を浮かべて俺を見る。


 俺は女の子を安心させるようにニコリと微笑んだ。


 そして、





 手に持っていたビー玉を


 床に叩きつけたッ!!!




 パキーンッ!!!





 しーん。


 うるさかった教室が水を打ったように静まり返る。





 俺は半分に割れたビー玉を拾った。


 そして、片割れのビー玉を女の子に差し出す。




「これ」


「え?」


「うけとってくれないか?」


 女の子はおずおずと片割れのビー玉を受け取る。


「いまはこんなのちかわたせないけど、かならずきみをみつけにいくよ」


「へ?」


「そのときは、おれと、けっこんちてくれ」


「え?」


「やくそくだ」


「うん」


「ちょうがくていになっても、おとなになっても、わすれないでね!」


「うん!」


 俺と女の子は二つに割れたビー玉を合わせる。


 丸くなったビー玉に、


 俺と女の子の笑顔が映っていた。





 別れの時。


「ちゅういちくん、バイバーイ!」


 女の子が一生懸命に手を振る。





「ちがうッ!!!!!!!!!」




 俺は近くにあったドラム缶を殴りつけた。


 ドガーン!




「・・・え?」


 女の子は泣きそうだ。


「バイバイじゃないだろ?」






 俺はフッと笑って、背中を向けて、右手を上げた。






「・・・またな」







 俺はポケットに手を入れて、教室にスタスタ戻っていく。





「うん!!! ちゅういちくん!!!」


 女の子はいっぱい空気を吸い込む。





「まあああああああああああああああああああああああああああたああああああああああああああああああああああああああああねええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」





 女の子は引っ越した。





 俺は教室に入る。


「ちゅういちくん、いっちょにあそぼ!」


「ごめん、つこちひとりにちてくれ」


 俺は教室の隅に移動し、声を殺して泣いた。


「なかないってきめてたのにな・・・」


 涙は幼稚園児がよく着ている青いスモックってやつで、ぬぐってもぬぐっても、次から次に流れるのだった。


 スモックのポケットには、割れたビー玉が入っている。


 その涙は、


 ビー玉のように、


 きらきらと透き通っていたのだった。










 13年後。


 高校生になった。


 俺は額に汗をかき、全力疾走している。





「はあ、はあ、寝坊した!」






 俺は何気ない日常を送っていた。







 そして、








 ドンッ!!!






「グハアアアア!!」


「いった!」






 曲がり角でぶつかった。

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