第31話 呼ばれた理由

「「失礼しました」」



俺達はU16に呼ばれた事に驚きながらも校長室を出た。


「なぁ幸也、俺達呼ばれたんだよな?あの、バスケをする人達が一度は憧れる日本代表候補に!」

「………あぁ」

「なんだよ幸也。その納得してないような顔は?呼ばれたんだから喜ばなきゃ!」


「………俺は一度バスケから離れる時にU15の監督に理由を言ってから辞めた。だから俺がまた始めたことは知らないはずなんだ」

「監督が変わったからとかじゃないのか?」

「それはないと断言できる。実は代表の監督は三人いる。そして、U15、U16、U18に交代しながら就く。例えばだけどU15の代に就く監督がいるとしよう。その監督はそのまま次の年のU16、3年後のU18の監督も務める。U18の監督終了後はまたU15の監督に就くという感じでループしてるんだ。だから代表に選ばれたメンバーの監督は基本変わらないんだ」


「そうなんだ。じゃあなんでだろうな?……とりあえず深く考えないで代表に選ばれるように頑張ろうな!」

「そうだな!」

「そうだ、当日は集合して行かない?」

「いいよ。集合時間はRheinで決めよう。俺こっちだからじゃあね〜」

「おう。また来週な〜」


ーなんで選ばれたのかは分からないけどとりあえず今は考えない為にも走って帰ろっと。花蓮さんのお昼ご飯も待ってることだしー





ガチャ


「ハァハァ、ただいまっと」

「あっ、幸也君。おかえり〜。息切れてるけど走って帰ってきたの?」

「うん。花蓮さんのお昼ご飯を早く食べたかったってのもあるけどその前に言いたいことがあったから」

「そ、それって、こく……」


「今さっき学校で徹と会ったんだけど徹も呼び出されてて二人で職員室行ったら校長室に連れてかれたんだ」

「そ、そうなんだ。それでなんの呼び出しだったの?」


「U16の練習会に呼ばれた。そこで選ばれたメンバーが日本代表になるから代表候補生と言えばいいのかな」


「えっ!?すごいじゃん!」


「ありがとう。でもさ、徹にも言ったんだけど、一度バスケから離れる時にU15の監督に理由を言ってから辞めたんだ。だから不思議なんだ」

「そうなんだ。でも、幸也君なら当然だと私は思うな。夜ご飯は豪華にしなきゃだね!」



プルプルプルプルプルプル


「幸也君のスマホ?」

「あぁ。非通知だから誰だろう?」


『もしもし』

『久しぶりだな米谷』

『向井監督!?』



向井 むかい つとむ監督は俺や玲音達などのU15の時の監督だ。教え方もすごく上手く、戦術なども考えてくれるすごい人だ。プロの日本代表のアシスタントコーチもしている。


『こうして米谷と話すのは辞めると連絡が来た時以来だな』

『そうですね』

『驚いたか?』

『当たり前ですよ!何故呼ばれたんでしょうか?俺がバスケをしていたとは限らないじゃないですか!』


『実はだな、先日、米谷が帰省する前に米谷家に電話をしたんだ。本当にバスケはもうしないのかってな。そうしたらもう一度聞きますのでこちらから連絡をしますって言われたんだ。久しぶりにドキドキしたぜ。もし、本当にやらないという連絡が来たらどうしようとな。だが、その心配はいらなかったみたいだ。また、バスケをするって連絡が来た時は本当に嬉しかったよ。米谷の実力は去年のU15で知っていたからな。だから今回も呼んだんだ。だが、周りよりも厳しく審査するつもりだった。一年間もやってないから』


『……はい。厳しく審査されるだろうなとは思っていました。しかし、今こうして監督と話していてもう一度呼ばれたんだと実感が出ました。そして、また玲音達とプレーがしたいなと思いました。こちらこそよろしくお願いします』


『いや、厳しく審査するつもりは無くなった』

『えっ!?』


『昨日、桐谷と会ってバスケをしたんだろ?実は米谷がバスケをしに公園に行くことはお前の母から聞いていたんだ。だから、お前の相棒である桐谷に米谷の今の実力を見に行ってもらったんだ。解散してすぐにだろう。桐谷から『幸也の実力は去年と同等、いや、それ以上にパス精度が上がっているから上手くなっている』と嬉しそうに報告してきたよ。だから、厳しく審査しなくても大丈夫だと判断したんだ。もちろん贔屓もしないがな』


『あ、ありがとうございます!しかし、自分はまだ過去のレベルまで達していません。ですが、期待を裏切らないように頑張ります』

『あぁ。期待して待ってるよ。米谷が代表にいればボール運びは安心できるからな。では、再び代表になれるように頑張れよ。俺が見てきた中でのNo.1のポイントガードよ』


プツッ


「監督さんだったの?」

「…………」

「幸也君?」



「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!もう一度アイツらとバスケができる!」



「フフッ、よかったね幸也君。それでなんで呼ばれたかも分かったの?」

「あぁ、俺が再びバスケをすることを信じてくれていたみたいだ。うちの親から連絡が来て速攻で呼ぶことを決めたらしい。そんな監督のためにも代表に選ばれて、試合に出場できたら貢献できるように頑張るよ!」

「期待してるね!」

「おう!じゃあ少し遅いけれどお昼ご飯を食べるか」





「一週間後か。楽しみだな」

「幸也君の栄養管理は任せてね!」

「花蓮さん、いつも本当にありがとう!」


俺達は食後のコーヒーを啜りながらも、U16の話ばかりをする。


ーそういえばプールの時に話していた夏祭りっていつなんだろうー


「花蓮さん、プールに行った時に話していた夏祭りっていつなの?」

「えっと、八月の最終日に行こうかなって思ってるよ。予定空いてるかな?」

「大丈夫だよ。U16もだけれど夏祭りも楽しみだな〜」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんにちは。春幸夜空です♪


まず最初に申し上げますが、バスケ部に所属していない人が選ばれるなんて普通ありえません。これは私がこんなことがあったら凄いなと思って書きました。何故、バスケ部にも入っていないのにと思った方には申し訳ございません。現実はその通りです。


それにしても、向井監督は凄くプレーヤーのことを信頼してますね。幸也も監督のことを凄く信頼していますし…

こんな関係を築けるチームこそが現実でも強豪校と呼ばれ、全国大会に出場できるのではないかと私は思います。まぁ私個人の感想ですけどw


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