第2話 出会い

「やめてください」



どこからかそんな声が聞こえてきた。

息継ぎのついでに走るのをやめ、周りを見回したが人が多く、誰が言ったのかがわからなかった。


ー俺の気のせいかー


俺はそう思い残りの距離を走ろうと体の向きを変えたその時


「へへっ いいじゃねぇかよ。俺達と楽しいことしようぜ。楽しませてやんよ。」

「何度も言ってますが、あなたとは遊びません。やめてください。」


助けを呼んでいた人が見つかった。


助けを呼んでいる人は艶のある髪を下ろしていて、後ろ姿を見るだけでこの人は綺麗だとわかるぐらいだった。そんな彼女が金髪のいかにもチャラそうな人に言い寄られ、そいつの取り巻きが彼女の逃げ道を封鎖していた。


周りを見てみるとイヤホンを付けながらスマホを見て歩いてる人や、関わりたくないのか見て見ぬふりをする人だらけだったからさっきは気が付かなかったのか。


「少しぐらいいいじゃねぇかよ。こっち来いよ」

「いい加減にしてください。こっちは何回も断っているんですよ?私は用事があるのでさようなら。」

「おいおい待てよ。仕方ねぇな。おい、お前らこいつを連れていくぞ。」

「キャッ やめて。離して。」


遠くから見ていた俺はこれはやばいと思い人混みをまるでドリブルで人を抜き去るように躱しながら彼女の元まで走った。もちろん手にはスマホを持ってね。

彼女達の近くまで来て俺はわざと大声でスマホに話し始めた。


「もしもし。警察ですか?河川敷のところで男達が女性を連れ去ろうとしています。」

「おいっ。お前何してんだ。クソっ お前ら帰るぞ。」


フゥ〜

警察に通報作戦成功だぜ。

俺は絡まれてた彼女に声をかけた。


「大丈夫だった?もうこれで平気なはずだけど一応気を付けてね」


俺は振り返りかえって固まってしまった。

後ろ姿からして綺麗な人だと思っていたけど想像以上に綺麗で可愛らしいからだ。


「助けていただきありがとうございました。出来ればお名前を教え…」

「いえいえ。俺は当然のことをしただけだから。それじゃ。」


俺は名前を聞かれる前にこの場から立ち去ろうと思い、残りの距離を走り始めた。





ーーーーー助けられた美少女sideーーーーー


ーえっ?助けてくれたのに見返りを要求してこない?ー


私は自慢になるかもしれないが自分のことを美少女だと思っている。いつも助けられたらその後連絡先を聞かれたり、遊びにしょっちゅう誘われたりなど様々なことを要求された。まぁ連絡先も教えなかったし、遊びにも行かなかったけどね。

それなのに彼は何も要求せずに走り去ってしまった。

そんな彼に私は興味を持ってしまった。なにより、助けてくれた彼は私のタイプにドンピシャであった。


ー見た感じ彼は高校生らしかったしここら辺だと思うから滝々峰高校かな?明日は入学式だから会えるといいなー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーー幸也siedーーーーー

明日は入学式だから楽しみだ。早く寝て明日に備えよう。


ーそういえば絡まれてた彼女はあれから大丈夫だったかな?まぁ、もうあんな綺麗な人と会えないだろうけどなー




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回は入学式です。


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