また出会いの日
午後3時。
行き倒れてる人がいる。いつの時代だ。いやいつの時代にもそうそういない気がする。
とりあえず近くにあった棒で突っつく。我ながら酷い扱い方だと思ったが、やってみたかった。
「えっと、生きてますか? 大丈夫ですか? 」
ま、行き倒れてる時点で大丈夫な訳がないか。ここで、いらない話だが、今朝はアナが潜り込んでこず、面白くないくだりだからと、はしょったわけではない。まぁ理由という理由もないが。
話を戻して昼真っ盛りに行き倒れてるおっさん。しかも白い軽めのコスプレ衣装。近くでコスプレ大会なんて知らないので本当に誰なんだ?
「み、水.........」
あ、生きてた。じゃなくて、 早くしないと。
「待っててください」
近くに自販くらいあると思ったが、以外と見当たらない。というか、初めて来た場所なので土地勘も無いから見つからないのもそうかもしれないが。
——
「ありがとう少年。助かったよ。水まで貰っちゃっ
て」
あげたつもりはないがな。まぁ病み上がりに言う言葉ではないことくらいは分かる。
「良かったです。で、その服ってコスプレですか? 」
ちょっとそういうのに興味を持っていて、来年でも、衣装作ってコミケでも行ってみたいと思ってたから聞いた。
「君、能力持ちだよね? 」
「は? え、は、はい。そうです」
あ、やべ。言ったわ。ん? 何も起こらない。
「そうだよね。僕のこと見えてるもんね」
「えっと、何を.........」
「君は知らないんだね。僕みたいな人を」
まぁ確かに初めて見たよ。コスプレしたおっさん。俺は別に気にしないけど。
「それは.........」
「僕は君に助けられた。その恩は返させて貰う。とい
うことで君の仲間。選定戦争の仲間にならせてもらう
よ」
俺に跪いて、敬意を表している風だった。
この人は何者だ。選定戦争に俺が参加してることを前提に話してるし、見えてるって幽霊みたいなことあるか?
「それはいいんですか? 」
「別に僕はどっちに加担してもいいんだよ? 」
これは絶好の機会だ。でも、敵のスパイとかそういうのも有り得るし、でも人が増えると当たり前のように、勝てる可能性は上がるもんな。
「じゃあこうしよう。この紙に色々書いてくれ」
紙が小さなカバンからでてくる。
「これは? 」
何文字か分からない。海外の言葉なのか? でも見た事が全くない。
「『戒律約紙』。簡単に言えばあれだ。契約書の上位
交換。深い深い契約書。僕はこれに血で拇印を押す。
君はこの紙を食べてくれ」
儀式にしてはおかしいだろ。非合理的だし、第1美味しくねぇ。
「はい。押したよ」
早! てかどうすればいいんだ?
「契約内容は? 」
聞かねばならぬことを忘れかけてた。クーリングオフが適用されるとは到底思えない。
「あー。そこに君の署名と君の友達、仲間とかの名前
を書いてくれ。俺はそいつらに剣を向けたり、万一傷
を与えたりしたら俺は即殺されて、魔術教連に大きな
君は貸しを作れる」
傷だけでか? それは普通にやばいな。契約という名の呪いじゃねぇか。
「ちなみにそれ、美味いから安心して」
うん。今言う言葉ではないだろ。安心はしないし。
「もうひとつ。代償は? 」
こっちの安全が確保されている以上、何かしらの要求があるはずだ。
「じゃあこうしよう。『可能読解キャンリード』」
俺は光に包まれる。
「これで読めるようになったはずだよ」
読めるようになった。なるほど。
「おいおい。これは保証できないぞ」
「知ってるさ」
要求は奇跡の輝石による帰還。異世界への帰還だった。
異世界人。それはこの世界以外の出身の人のこと。この男もその1人だと言う。その世界は剣と魔法の世界だったらしい。だから剣を装備してるそうだ。
とりあえず俺の家に向かうことにした。
道中
「君。ちなみに僕はおっさんじゃなくてお兄さんだ
よ」
俺は言っていないはず。なぜ知っている? そういえば美味い美味くないの話も言ってないけど知っていた。もしかして心が読まれてるのか?
「お兄さんキャラはかぶるから名前で呼ばせてもらう
よ」
ちなみに契約の件は最終的には美味しくいただきました。美味しくはなかったです。
「おっさんの名前は? 」
悩んでいるみたいだ。何故なのかはわからないけど、あまり知られたくないのかもしれない。
「アブァロンとでも名乗っておこう」
隠していることをそんなに問い詰める気はないが、アブァロンてあだ名が付けずらいな。
「じゃアブァロンはどうやってこっちに来たんだ? 」
「召喚だよ。よくある転移の1つ。でも、僕の場合召喚
直後に気絶させられたから正直転移しただけって感じ
だね」
ということは選定戦争のために呼ばれたみたいだな。魔術教連の仕業なのだろう。
「魔法のこととか関係者以外に話すと殺されるらしい
から魔法とか街中で言うなよアブァロン」
「それに関しては大丈夫。魔力保有者以外には見えな
いみたいだ。僕のいた世界は魔力をみんなが持ってた
からそのせいかもしれないね」
「ふーん。それならいいんだけど」
最近の魔法とかのせいで、異世界人がすごいと思えない。やばいな。最近感覚狂ってきてる。
「ちょっと聞いていいか? 」
「なんだい? 」
「その剣。3本もいるか? 」
「いるに決まってるだろう? でなきゃ重い剣を何本も
持たないよ」
剣は1つは短剣、もう1つも短剣。最後は大剣のようだ。欲しいと言ってもいいんだが、流石に図々しいか。
「着いたよ。ここが俺の家」
そういえば異世界と現実こっちでは化学力が段違いってのが普通なのにアブァ(アブァロンの略)は別に普通そうにしてる。
「うん。空を飛べるほど発展してないんだね」
現実の方が遅かった(泣)。まぁ俺にとっていつも通りだから別に関係ないけど。
「ただいまー」
「兄ぃおかえ.........って誰? 」
「こんにちは。ただのしがないお兄さんだよ」
「ちょっとまってて兄ぃ」
自分の部屋にかけて行く。何しに行くんだ?
「兄ぃ! 今から助けるね」
木刀を取り出してきた。てか日本人形の部屋のせいであいつの部屋に入ったことが無いせいで、持ってることすら知らなかった。鎌倉で1000円くらいで売ってると聞いたことはあったが。
「大丈夫。背中の剣はコスプレの1部で、危害を加える
ことはできないよ」
「この人はアブァロンっていって、民泊したいらし
い。いいよな? 」
適当に理由をつければ1日くらいは平気のはず。
「いいけど、夜はリビングで貼り付けの刑ね」
確かにそれは正しいな。家壊されたらたまったもんじゃない。にしても貼り付けって.........。まぁ正しくないとも言いきれない。
「アナは? 話があるんだけど.........」
「なんか1時間くらい外行ってくるって言って出てった
よ」
罠が何とか言ってたからそれかな? 敵が見つかればいいんだけど。
「アナっていうのは? 」
「俺の友達。詳しくはまた後で教える」
ニコにばれるのはマズいと思い、詳しくは後にした。
「トゥルン」
メールが来た。アナからのようだ。急いで要件を忘れてる。
「廃工場に夜9時にきて。大事な話があるから」
珍しく俺の家でご飯を食べないのか。まぁ行くとしよう。
「兄ぃ。その人どうする? リビングで寝てもらう? 」
「いやもう1つ部屋あるだろ。前に民泊やってた時の」
「畳のあの部屋は今さ、お父さんの趣味の物作りの発
展形で.........」
工具や3Dプリンター、その他諸々のため使えないそうだ。忘れてた。趣味の時間とってるところ見た事ないけど。
「じゃあ今日は俺の部屋だな」
「男2人とはむさ苦しいね」
「じゃあ床で寝るか? 」
「男2人で仲良くしようじゃないか」
手のひら返しもいいところだな。まぁ汗臭いおっさんじゃなくて清潔そうなイケメンのおっさんならまだマシなのかもしれない。1度外人が来た時は次の日部屋が臭すぎて脱臭が大変だった。
「ただいまー」
「お前の家じゃないだろ」
あれ? メール.........。
「いいじゃない。もう3日寝てるんだし」
だからってな.........。
「君達同棲かい? 」
「こいつはいそうろ.........」
アナの顔を見ると火照ってる。体温クソ高そうだ。
「お風呂入る! 」
「アナ君? 僕とかい? 」
「はあ? 何言ってんの? 」
「いやー。やっぱり僕の魅力は凄いねぇ」
「こっち来なさい。銀髪男」
「そっちはお風呂じゃないよ」
あーついて行っちゃった.........。
——
リビングにて。
「アブァ。なんというか、うん。乙」
「ふぃあーふふぉいなーかほほぉは(いやー強いなー彼
女は)」
漫画みたいに腫れ上がった顔で言うな。いくら殴られてもそうはならんだろ。
「どひどくやられたな。まぁいい薬か」
元の世界ではイケメンのおかげで楽しんでたみたいだしな。
「ひほーほひゃんふぁ? (いもーとちゃんは? )」
「ニコのことか? あいつはリモート会議という名のゲ
ーム大会をしてるよ」
「ほーふぁんふぁ(そーなんだ)」
こいつはニコまで手を出す気か。その時は『増長ブースト』使ってでも止めて殴る。
「ひーふ」
腫れがひいていく。
「ふー、治った」
「回復魔法でも使ったのか? 」
「もちろん。『治癒ヒール』。回復させる魔法だよ」
おー。これで回復役も確保した。あれ? 結構良さげなのでは?
「アブァロン。あなたは何を使える? 」
アナが風呂から上がってきた。ちなみにちゃんと服は着ている。薄着パジャマではあるが。
「僕は剣の腕が少し立つだけだよ。この背負ってたり
腰に付いている3つの剣は1つが金色で、鞘付きが名
を『エクスカリバー』。まぁこれはレプリカみたいな
ものだけど、本物と同じく強いよ。僕にはつかえない
けどね。もう1つ。この短剣は『ブレイク』。全てを
破壊する。呪剣の1つ」
「切れ味のいい剣って事じゃなくて? 」
「間違ってはいない。でも、これは切っただけで、破
壊できる。最強さ」
笑顔で話していた顔が急に暗くなる。
「でも.........。この剣はね、代償が必要なんだよ。例え
ば人を1人壊すとしよう」
人を壊すって.........。言い方がなんか変な感じだな。
「そうすると、その代償は僕が受けるんだ。そうすれ
ば僕は十中八九死ぬ」
呪剣という名の通り呪われてる剣だな。使えない武器か.........。しょうがないけど。最凶の剣だな。
「おっと暗くしてしまったね。最後の剣は普段使う剣
で名を『マジカルソード』とでも言っておこう。僕の
発明であまり名前は決めてなかったんだよね」
「どんな能力なのよ? 」
「魔法を組み込んで、剣にして出力する、単純かつ使
い勝手のいい剣だよ」
アナだったら音、俺だったらスピードが高くなるのかな?
「僕の魔力は基礎4属性に適正がある。火、 水、風、
土だよ」
「ちょっといいか? 魔法の属性っていくつあるんだ? 」
「それは8個だよ。火、水、風、土、力、音、雷、破」
「破? 珍しいな」
「そうかしら? 破の魔法は単純に言えば能力無しと同
じだけど、通常より力とかが異常に高い、魔法という
よりはステータスの問題なのよ。まぁ魔力を使ってな
いとステータスの上がらない普通の人間になるけれ
ど」
「なるほど」
「まぁ力魔法は破魔法の上位交換と考えてもいいかも
しれないわね」
話を、聞いていれば確かに俺も似たことやったけど破魔法が弱いってのはバランス的にどうなんだろ。ゲームだったら修正欲しいくらいだ。
「本題に戻ると、僕はこの戦いに勝ってこの世界に住
みたい」
「あれ? 元の世界に帰るとかいいのか? 」
まぁ普通は帰りたいと思うのが普通だろう。てかさっきは帰るのが目的だったはず。
「そうだね、でも、1人だしね。別にこっちの方が新し
い世界で楽しそうだと思って」
「私もこの世界の表で生きたいっていうのは同じね」
そういえば俺しかまともな人間いねぇじゃねぇか。異世界人とホムクル。最後の1人はどんなやつなんだよ。
「アブァはあれだっけ? 心を読めたりするの? さっき
だって読んでたし」
「正確には読んだんじゃなくて聴いたんだよ」
? どういうことだ?
「僕の耳はよく出来ていて、心の声も聞き取れてしま
うんだ。だけど、負の感情は聞き取れない。負の感情
の言葉を聞いていると僕のも狂ってしまいそうだから
ね。だからフィルターみたいなものを作ったんだよ」
よく分からんけど、アブァへの悪口は筒抜けってことだな。てかよく出来てるだけで聞こえたらやばいだろ。
「ちょっと報告いいかしら? 今日罠を見に行ったら捕
まってたのよ。敵」
「すごいな。てか1日で捕まるようなもんなんだな」
「で、敵はどこだい? 」
「あー敵は敵でも狂化してるMOBだったから倒しちゃ
った」
倒すというか殺したんだろうけどやばいな。
「きょうかってどういう? 」
「バーサーカーの狂化よ」
当たり前でしょ。と、続ける。
「MOBの種類はどんなものだったんだい? 」
「えっとね.........」
「ふむふむ。あーそれは機械人形オートマタ。魔力
回路を持ってるが、自我はない。リーダーに従うだけ
の人形さ」
へー。そういえば心読めるの忘れてた。ホムクルと機械人形て何が違うんだ?
「それはね、ホムンクルスは8割方自立しているし、容
姿が人間とほとんど差がない。機械人形は名前の通り
容姿はもちろん、制御も操ってる人が決めるんだ」
「なるほど」
「ちなみに私を含むホムクルは量産が難しい以外は機
械人形より上よ」
胸に手を当てて自慢げに話す。
「あとは、敵の位置はわかったわ。まず、ニクスの中学校。多分先生の誰かだと思うわ。あとは、ニコちゃんの通う道場の先生が容疑者って言うとあれかもだけど可能性が高いわ」
ロリコンジジイか.........。まぁ老いぼれと戦うのは気が引けるかもだが、相手がアレなら容赦はしない。
「今日はもう遅いし、解散ね。とりあえずまだ開戦し
てないみたいだしー」
グルゥウ! という音と共に窓が割れる。
「「「!!!」」」
「ニクスは初の戦闘よね。それにしては分が悪いかもだけど」
「そうだね。少しちゃんと戦わないとダメそうだ」
「何がいるんだ? 」
「機械人形。しかも人型じゃなくて上位の獣」
「多分あれはモデルが狼のようだ。早いし、噛まれる
と離れないと思うから注意しないとすぐ死んでしまう
よ」
初戦から辛いな。
「グルルルゥ」
唸っている。
「俺はどうすればいい? 」
「『増長』で体を守ってなさい。あとは、魔力の温存
しておいて」
2人は割れた窓から外へ出る。
「お、おい。待てよ! 」
外にでると緊張感が張り詰めていた。お互いの隙を狙ってるらしいが、隙なんてはないみたいだ。
「ニクス君。僕は今回役に立てなさそうだ」
おいおい。リタイア早いなアブァ。って普通だったら言えるのだろうが、緊張感のせいで、口もろくに開けれられない。逆に普通に喋ってるアブァがすごい。
「褒められると少しやる気はでるんだけどね、
今回はアナ君の強さを見ようじゃないか」
サボりではないわけか。
——
いきなり出てきてしまったが、ノープランである。
どうすればいい。どうしたら確実に倒せる。正面切って出るか、魔法でも使おうか。唸り声だけが、聴こえる。 装具解法ー アテナ。黄金の装束が身につき、右には女神の槍、左手にはイージスの盾。これをつけることで、威は同じくらいに保たれるけれどつけてないと心細くて死んでしまいそうだ。突っ込んでくる。いわば不意打ちのようなものだった。私はそれをイージスの盾で、守り、受け流した。しかし、気づいた時には遅く、背中を取られていた。噛みちぎられる。
「アナ! 」
「ブシュッ」
鈍い音と共に前に転がり込んできたのは機械人形の首だった。
何が起きた。私は倒されるのかと思ったが、切られている。
「大丈夫かい? アナ君」
その銀髪の男の手には炎のように赤い剣があった。
——
「すごいなアブァ」
「まぁね。これでも一国の主の右腕というか直属の配
下の1人だったしね」
剣の色が薄くなっていく。白くなったらしまった。
「ありがと.........」
アナはポカンとした顔でいう。
「まぁ無事でなによりだよ。アナ君」
アナは聞こえてないようだ。返事がない。魂抜けてんのか?
「で、この割れた窓どうする? ニコに見られたらまず
いだろ」
「そうだね.........。ガラスの成分は? 」
「確かSiO2のはず」
「『創造クリエイト』」
光の粒がどんどん割れた窓の元に集まる。次の瞬間、割れた窓は元に戻っていった。
「これでどうだい? 」
「スゴすぎだよ.........」
「私.........。なんかごめん。勝てるはずだったんだけ
ど、なんか体が上手く働かなくて」
と、意識の戻ったアナは言う。
「アナ君は実戦何回目だい? 」
「私は2回目とかのはずよ」
やっぱりなんでも知ってるってのは勘違いだな。
「じゃあ明日は特訓しよう。僕が指導してあげ るよ」
自慢げに言う。
「そう言ってくれるならお願いします」
アナは少し悩んで、
「ニクスが行くなら私も.........」
「場所は有るのだろう? 」
「そうね。いつもの廃工場ででもやりましょ」
「トゥルルルルン トゥルルルル」
ファ〇マに入った時の音楽が鳴る。
「お前、そういや9時に廃工場来いって言ってたよな?
」
「え、私? そんな覚えないけど.........」
「え、じゃあ誰が.........」
「とりあえず行ってみよー」
おい。アブァお前が決めんなよ。
「まぁ行くか」
「そうね」
——
「お待ちしておりました。今回の選定をさせて頂く、
名前をサリエルとでも言っておきましょう」
「どういうことだ? 選定をさせて頂くって」
「そうですねぇ。私は奇跡の輝石を前回手にした家の
者ですぅ。選定は前回勝ったリーダーの家系が取り繕
ういわば後継者探しみたいなものですよぉ」
母音伸ばし気持ち悪。しかも服はいかにも道下師じゃないか。
「今日をもってぇ! 開戦とさせて頂きますぅ。その後は
あなた達の自由ですぅ。しかし、安全エリアを1つ作
りましょう。しかし、完全ではありません。1日1回魔
力的攻撃を無効化するだけなので、ご注意をぉ」
そう言って道下師サリエルは黒い羽を残してどこかへ消えていった。
「2人はどう思う? あいつは」
「そうね。あれは参加してなくてよかった」
「僕も同感だ。勝てる気がしなかった」
そうか? 以外と細くて、弱っちく見えたけど。
「おいおい偏見はよしてくれよ。あいつはきっと1人じ
ゃない」
「ん? 」
1人だったけど.........。
「そうだね。1人だ。でも持ってる神具の数がまるで違
う。僕は、3個。使えないのも含めて。アナ君は1つ。
でもサリエルは、10個くらいあるだろう。目視できた
のは1つ、強い意志を持った道具が8、9つくらい聴こ
えたよ」
道具の心さえ聴こえるのか。強すぎだろ。相手もアブァも。
「家に帰りましょ。これからどうなるか分からないわ
けだし。一旦、ね? 」
「そうだな」
俺はまだ弱いし、2人の足元にも及ばない。だけれども、俺もなにか武器がなければいくつ命があっても足りなさそうだ。
「今日は何を食べたい? 」
場を和ませる意味も込めて言う。
「うーん。天ぷらは? 」
「僕は日本に来たからには寿司かな」
「どっちも日本料理だな。よし、テイクアウトで買
って帰るぞ」
「「おー! 」」
またハモった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます