同居から始まる魔法戦争
月光月軍
始まりの日
この世界の物事全てに表と裏がある。
例えばカードやニュース、人の心など。
あとは神様の心とか。
始まりの日
「ピピピピッ ピピピピッピピピピッ」
目覚まし時計が鳴る。
午後1時起床。今日から高校は夏休みになる。と、言っても何もすることはなく、宿題も全然やる気がしない。昨晩は友達と遅くまで遊んで、まだ寝足りないくらいだ。いっそ寝てもいいかもしれないが、それはなんか贅沢すぎて気が引けてくる。
外へ散歩するのは面倒臭いが、プリペイドカードが底を着いたはずなのでコンビニに行くことにした。
——
一応、寝癖を見る。アホ毛以外は全然平気だ。アホ毛は良いよね。トレードマークになる。可愛く見える。ま、可愛さを追い求めている訳では無いので、なくてもいいのだが、切っても切ってもまた伸びてくる。一応、顔も見ておく。あーあ。もーちょいかっこよければなぁ。
悲しくなってきたので洗面所からすぐ玄関に向かった。
——
コンビニまでの距離は遠くなく、近くない。道中、景色に意識を向けると真緑の木々が、夏を告げていた。とても風が気持ちいい季節になったなぁ。と、思っているとコンビニに着いていた。
「ポテチは量が多いけどなぁ。グミの方が食べやすいかな」
小さな独り言。ゲームをやるにはポテチのように油や粉のつくものは向いていない。やはりここはグミだろうと思ってカゴに入れてレジへ行った。帰ってからはゲーム三昧だ。
——
「寝てた........」
起きると午後11時。寝落ちしていたらしい。もう少しくらいはゲームができそうだ。課金しようとすると、新たな事実に気づく。
「あ、昼間に俺プリペイドカード買うの忘れたのか」
昼間はお菓子に気を取られていた。どうしよう。
「行くか......」
部屋を出ようとしたとこで妹に見つかった。俺の部屋の前で待機していた訳ではなく、寝に来たところを鉢合わせた。
「どうしたの兄ぃ。珍しくこんな時間にどっか行くの? 」
「ちょっちコンビニ行ってくるわ」
妹はいらない詮索をしてくる。いつもそうだ。でも母にチクるほど腐っていない。深夜(?)にコンビニ。ベタだなぁ。なんて思いながら道を歩いていると、
「ん? 」
こんな時間に出歩いてる人なんてざらにいると思うのにコンビニにはおろか道中にも大人1人いなかった。まぁ、ありえない話でもないと別に気にしなかった。店員さんも1人。本当に誰もいないようだ。5000円のプリペイドカードを手にレジに行くと、金の装いをした美しい人がよろけながら入って来た。悟った。これは夢だと。まぁおかしいよな午後の9時に寝て、午後の11時に起きるなんて俺にとっちゃぁ奇跡に近いことが起きている。成立するならば夢だけだろう。片手には槍? のようなもの。細長くて、鋭い、とても綺麗な金色の槍。
次の瞬間、胸にその槍が刺さった。
「っ!? 」
夢のはずなのに痛い。現実かよ。槍はすぐに引き抜かれる。俺は患部を触る。吹き出した血を止めるように。生暖かい.........。
「血.........」
目眩もしてきた。俺は左腕から倒れ込む。もう生きてられるのも少しだろう。目の前に店員さんらしき人も倒れてきた。もう目も開けられない。記憶が走馬灯のように蘇るかと思ったらそうでもなく、俺は高校生で死ぬんだという事実しか分からない。悪い事はしてないからやっぱり天国だよな。あ、もしかして異世界転生か? もうこんなことを考えるしかなかった。妹にも母さんにも父さんにも申し訳ない。
——
暗い。何も無い。白い空間。あれはなんだ? 光の塊か?いや火の塊か? 飛んでくるみたいだ。大きい。あれは鳥か? 突っ込んで来る。火の鳥が俺目掛けて突っ込んでくる。
「熱いなぁ。まだ苦しめというのか。死んでいるのに」
火に焼かれ、黒く焦げたと思われる体はもう動かない。かすれているが、意識はある。やめて欲しいな。いくら地獄でも。高校生だよ。まだ世の中知らないんだよ。楽しかったけど友達と一緒に死ねたら良かったなぁ。
プツンと意識が途切れた。
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