第5話[影]

銃声が収まり、しばらくしてデッドが合流する。

春夏達の前には一人の女性が立っていた。

彼女との対話。

それをしようと試みるが、彼女はそれを拒否する。

そんな時、マリアが動いた。


「なっ、馬鹿な…。」


精神が汚染され、死にたくなる。

敵意を向けてもいないのに、何故?

疑問に思っていた事をマリアがご丁寧に説明してくれた。


「私は念じる事でも、能力を発動させる事ができるのよ。」


彼女の前に薬を見せる。

死にたくないのなら、嬉々は諦めろ。

そう交換条件を持ちかけるマリアに対し、デッドは銃を影のボスの額に押し当て、甘いとマリアに指摘した。


「そんな約束、信じられるかよ。」

「一人残らず、殺してしまうのが一番だ。」


今にでも殺しかねない勢いのデッドを止めようと春夏が動くが…。

何かがおかしい。

額に銃を押し当てられていた、影のボスがゆっくりと立ち上がり、マリアから薬を奪う。

マリアにデッド、嬉々までもが微動だにしない中、春夏は時間が止められている事に気づいた。


「さて、Sランク第一位さん。」

「この時間が止められた世界で、あなたは三人を守る事ができますか?」


慌てて三人を一箇所に固め、その三人の前に庇う形で立ち塞がる春夏。

その様子を何処からか見ていたのか、初老の男性の笑い声がアジト内に響き渡る。


「ボス。」


彼女の言葉に、目の前の女性は影のボスではない事を理解する春夏。

それと同時に、危機感が彼女を襲った。

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