第2話そして、彼は創られた

ギルガメシュを倒さねばならない、そう思ったアヌは創造神・アルルを説得した。

「アルル、お前は人間を創っただろう。その似姿を、ギルガメシュに競うような者を創れ。

あの国に平和が訪れるように。」

アルルは頭の中でアヌの姿を思い浮かべながら手を洗い、泥をすくって平地に投げつける。そうしてエンキドゥはできたのであった。

戦いの神・ニタルタに力を受けとても強大な力を持ち、全身はけむくじゃらで髪は女のように長く波打っていた。

彼は人間的な文化を何も知らず、粗末な服を身に着けてカモシカと共に草を食べた上、水飲み場で獣達と肩を押し合いさえした。そして家畜と同じように水を見ると彼の心は沸き立つのだった。


(この様子から、ギルガメシュをボコボコにする気満々だったアヌ神)


ある日一人の狩人が水飲み場で野生に還った人間の姿を目にする。

エンキドゥは獣達とすみかへ帰っていったが、狩人はその姿を見て恐怖に包まれた。エンキドゥが水を飲む姿に恐れおののき、動くことも声を出すこともできず、心は激しく動揺した。

恐怖が彼の腹わたにいつき、家につく頃には遠くから帰ってきた旅人のように疲れていた。


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