ぼくはお姉ちゃんとお風呂に入りたいんだ! 〜超一流の弟を自称するショタ中学生はえっちな女子高生(姉の親友)に弄ばれる〜
ほえ太郎
第1話 ぼくはお姉ちゃんとお風呂に入りたいんだ!
「ぼくはお姉ちゃんとお風呂に入りたいんだ!」
何気なくテレビをつけたときに、あるバラエティ番組が放送されていた。父と娘がお風呂に入って、普段なら打ち明けにくい秘密をさらけ出すというものだ。
その番組を見た瞬間、身体に電撃が走った。
ぼくが求めていたものはこれだったのだ。
父と娘がお風呂に入って語り合うように、姉と弟もまたお風呂に入って全てをさらし合うべきである。
裸と裸の対話こそ、真の相互理解だ。
浴槽という狭い空間に2人で入り、お湯で身体を温めながら、互いの心の内を話し合うのだ。
「えっと、急にどうしたのかな?」
小洒落れたカフェで机を挟んで向かい合う佐倉さんが苦笑を浮かべている。
佐倉恭子、我が愛すべき姉の親友だ。
良いところのお嬢様である彼女は清楚な美人さんだ。
艶やかな黒い長髪。雪の様に白い肌。見る方をほんわかさせるおっとりとしたたれ目。
それだけでも世の女性の嫉妬を得るには十分だろうに、加えておっぱいも大きい。
巨乳で美人でえっちなお姉さん。ぼくのストライクゾーンど真ん中、しかも豪速球のストレートだ。あまりに早すぎて打ち返せない。
ぼくたち二人はカップルや若い女性たちが集まるカフェに来ているけれど、残念ながら付き合っている訳ではない。
「弟が姉とお風呂に入ることに理由が必要?」
「普通は必要だと思うけど」
お姉ちゃんを動とするならば佐倉さんは静だ。
優しくてお淑やかで、高校2年生ながらに大人の女性な感じがする。しかも内面的な意味だけでなく、おっぱいも大人です!
だけど、どうにも姉弟という究極の関係についての理解が浅くて困る。
佐倉さんは一人っ子だ。
だから姉と弟の関係に疎いのだろう。仕方のないことだ。
弟を持つことができなかった哀れな彼女には優しく接してあげよう。
「分かってないね」
「分かるはずないよ……。最後に綾乃とお風呂に入ったのはいつ?」
「小学校の卒業式の日が最後だから、1年とちょっと前かな」
白川孝彦――ぼくが小学校を卒業してから中学2年生となった今まで、お姉ちゃんとは一度もお風呂に入っていない。
3月18日が卒業式だったけど、その日はお姉ちゃんとのお風呂からの卒業でもあったのだ。
まさに涙の卒業式だ。号泣ものだ。
「け、結構最近だね」
「大昔じゃないか」
「ある程度の年齢になったら、普通の姉弟は一緒に入らないと思う」
「問題はそこなんだ」
一度はぼくも世にはびこっている風潮に負けてしまった。成長すれば姉と弟はお風呂に入らないものだ、などという誤った常識に支配されていた。
天啓となる番組を見るまで社会に洗脳されていたのだ。
でもぼくは気付くことができた。こんな世界は嘘なのだと。一人で寂しくお風呂に入った1年と2か月は欺瞞にすぎなかったのだと。
姉と一緒にお風呂に入れない日々に生きる価値はあるだろうか、いやない!
「普通だろうとなんだろうと、間違ったことにはノーを突きつけなきゃ」
「う、うーん」
佐倉さんは頬に人差し指を当てて唇をつんと結びながら、視線を斜め上に向けて困惑している。
大半の女性が真似してもあざとくてイラつく仕草だ。お姉ちゃんが同じ仕草をしたら大爆笑する自信がある。
でも佐倉さんの場合は様になっている。むしろ魅力的で見惚れてしまう。
――ハッ!
ぼくは首を左右にふって我に返る。
確かに佐倉さんはとても可愛い。でも今大事なことは佐倉さんの可愛さではない。お姉ちゃんとお風呂に入りたいということだ。
「ぼくはお姉ちゃんとお風呂に入りたいんだ」
「どうしても?」
「もちろん」
だって弟だから。
姉弟は一緒にお風呂に入るべきなのだ。
「弟くんは女の人のカラダに興味があるの?」
「は? なんで?」
「だから綾乃とお風呂に入りたいんじゃないの?」
全くもって頓珍漢な質問だ。どうにもぼくの崇高な理念が伝わっていないようだ。
性的な意味でお姉ちゃんに興味はないし、そういう点ではむしろ佐倉さんと入りたいものだ。
佐倉さんとお風呂に入っている場面を脳内で想像していると、佐倉さんが爆弾を投下した。
「だったら私と入る?」
「……は?」
「弟くんになら私のハダカを見せても良いよ」
机の上に肘をつき両手を組んで、その上に顎をのせて、まるでぼくを誘惑するかのように見つめてくる。
トロンとした蠱惑なたれ目に、ぼくの身体が硬直してしまう。
気合を振り絞って、何とか言葉を返した。
「な、何を馬鹿なことを」
佐倉さんは世の男どもが振り返るような美人だ。頭も性格も良くて大和撫子と表するに相応しい。
まさに完璧を体現したような女性だけれど、欠点もいくつか存在する。
その一つはぼくを子ども扱いすることだ。
「弟くんと一緒にお風呂に入りたいな」
イタズラっ子みたいに笑っている。年下のガキをからかって遊んでいるのだろう。
確かにぼくは背が小さい。小学生に間違われることも良くあるし、クラスで背の順で並ぶと一番前に立たされてしまう。
でも、ぼくだって男なのだ。意地がある。
「またぼくを子ども扱いしてる」
「してないよ~」
佐倉さんにはぼくが男だということを理解してもらう必要がある。
いつか目に物見せてやるのだ。
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