浮気していた彼女と別れたけど、反省の色が濃すぎて思わず許してしまいそう

楽樹木

1.いつもと変わらぬ金曜日

高校2年の春が過ぎ梅雨に差し掛かった頃、俺達4人は久しぶりの晴れ間に屋上で昼飯を食べるという変わらぬ日常を過ごしていた


「数学の小テストどうだった?」


こいつの名前は地崎大地

茶色い短髪をワックスで散らしている爽やかイケメン

俺の中学からの友達であり、親友でもある


「私は70点だったよ。彩花は?」


大地の質問に答えたのは空橋美空

明るい茶髪のミドルヘアに緩いパーマをかけた明るい雰囲気の可愛い女の子

大地の彼女でもある


「私は100点でしたよ。海君もですよね?」


空橋に返答したのは花島彩花

艶のある綺麗な黒髪のロングヘア

可愛いというよりは綺麗、美人という言葉が似合うが、本人は可愛いと言われる方が喜んでくれる

俺の彼女だ


「うん、俺も100点だった。彩花とお揃いだね」


そして俺、海北海。読み方はうみきたうみ

上から読んでも下から読んでもみたいな語呂になってしまっているのは両親が離婚して引き取られた母方の旧姓になったせいでもあるが、あまり気にしてない

目にかかる黒髪を払いながら答える

本当は大地みたいな髪型に憧れるが中性的な顔立ちの俺には短髪はあまり似合わないと思う

今の髪型は某告らせたい会長と副会長がいる生徒会の会計が近いだろうか


「おーおー、秀才カップルは今日もお熱いですこと」


大地が茶化してきたので


「と言いつつ彼女の手作り弁当を食べる大地なのであった」


茶化し返しておいた


「海君も手作りのお弁当‥食べたいですか?」


もじもじしながら彩花が聞いてくるが‥

彩花はお淑やかで家庭的なイメージに反して絶望的に料理が下手である

前にご馳走になった時は脂汗をかきながら完食した

吐かなかった自分を自分で褒め称えたい

味噌汁はダシを入れないとただの味噌湯なんやで‥

でも、一番マシだったのがそんな味噌湯だった。これで分かって貰えると思う


「料理が上手い空橋がオッケーしたらね‥」


「ちょ!?」


「美空ちゃん、今日お料理教えてもらいに行ってもいいですか?」


「えっとー‥」


空橋が絶望半分恨み半分な目で見てくる


多分了承したら空橋は味見で死ぬ事になるだろう

合掌




俺達が集まるようになったきっかけは、

高校の入学式で、まず大地が空橋に一目惚れをした事から始まる


そこから大地のあと一歩でストーカーでは?というくらいの猛アタックに2ヶ月程で空橋が陥落した形だ


そこから2人の交際は始まり、彼女を紹介された際に自己紹介をすると空橋の幼馴染みの気になる人が俺であると発覚


何でも上位者のみ張り出されるテストの順位で同率1位だったこの人は誰だろう?という事から気になり始め、目で追っているうちに俺の人柄に惚れ‥って自分で言ってて恥ずかしいな


そんな事もあって、彩花を紹介されよく4人で遊ぶようになり、彩花の優しさ健気さに惹かれて俺も好きになってしまうのは自然の摂理なわけで


花火大会の日、花火が終盤に差し掛かった時に告白しようと決意していたら、花火が打ち上がり始めたところで彩花から告白された

俺もこの後告白しようと思っていた事を伝え2人で照れながらも笑い合い、花火の後に合流した大地と空橋に祝福された


3ヶ月で倦怠期なんて話を聞いた事があるが、ただただ好きになっていく一方だったと思う

彼女も同じ気持ちだったら嬉しい

彼女の求める事を叶えられるよう必死で努力してきた

ただ、体の関係には踏み出せていない‥




大地と空橋は明日土曜が1周年記念であるらしくデートの打ち合わせを始めたので、俺もデートがしたくなり彩花に聞いてみた


「彩花は明日何か予定ある?」


「ごめんなさい、明日は予定がありまして‥」


‥暗い顔にさせてしまった


「すでに予定があるのなら仕方ないよ、気にしないで」


気にさせないように笑顔で返す



こんな日常がずっと続くと思っていた


‥昨日までは




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