第12話

警察や政府による公式見解などが発表されると、俺の家族や親戚、近所などに対する誹謗中傷や迷惑行為は収まったと警察から聞いた。警察や政府が本気になったと知ったネット民たちは自分が捕まる可能性を感じたらしい。


しかし、俺に対するバッシングは止むことは無かった。俺は社会のクズで批判されても文句は言えないと思われているのか、はたまた書き込んでいる連中は本気で誹謗中傷ではなく論理的な批判を展開しているに過ぎないから逮捕される事はないと思っているのかは分からない。


ただ今ハッキリと分かること、それは、俺への度が過ぎるバッシングが止んでいないという事実だった。それと同時に、倒産したことで貯金もほとんどなく、無職だった俺は世間から身を隠すための逃亡生活資金が底を尽きかけているという事実の二つだ。



お金を稼ぐ為にどこかで働こうにも、ここまで連日のようにネットやテレビで顔が露出している俺を、どこも雇ってはくれなかった。俺自身が犯した行為そのものではなく、俺がいることにより会社や店に迷惑が掛かる可能性があるから雇えないというのが、どの面接先でも言われた理由だった。


時には、面接官なのか、その会社の従業員なのか分からないが掲示板に面接を受けにきたことを書き込まれ、俺の所在地が公開され、その度に俺はどこかの県に逃げる生活を強いられていた。

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