第10話

「まずは、俺の行動によって命を落とされた二人のご冥福をお祈り申し上げます。正当防衛とはいえ、二人の方の命を奪ってしまった責任を胸に、このことを一生忘れることなく生きていく事が、俺にできる唯一の反省だと思っています。また、ご遺族の皆さまに対しても、この場を借りて深くお詫び申し上げます。



そして、ここからは皆さんに対するお願いと警告をお伝えするためにお時間を頂戴します。

人を二人も殺している私がお願いを出来る立場ではないと仰る方が一定数いることは分かっています。


でも、お願いさせてください。


どうか、私の父親や兄弟、親戚が働いている職場への迷惑行為はやめてください。



皆さんが怒りをぶつけたい相手は私のはずです。関係ない人を巻き込むことはやめてください。また、ご近所さんにも迷惑をかけることになるので、家の周りで騒いだり、暴れたり、大声を出すこともやめてください。


私に対する批判や怒りは全て真摯に受け止めます。なので、私に直接、ぶつけてください。また、私は既に実家を出ています。どこに住んでいるかは検察や警察には伝えていますが、家族や友人などにも一切、知らせていません。なので、聞かないでください。聞かれたとしても、本当に知らないので彼らも答えようがありません。



SNSは誰からでも誹謗中傷を受け付けられるようにDMを受け取れるように設定しておきます。私の顔を見て直接、文句を言いたい人は日本のどこかにいる私を自らの力で探し出してください。私は怖いので逃げも隠れもしますから見つけるのはとても困難だと思いますし素人ではまず出来ないでしょう。それでも皆さんの私に対する怒りなどネガティブな気持ちが強ければ、きっと見つけられるはずです。


もしもこの先、私以外の人間に対して、これまで同様の行為を行う人に対しては徹底的に法的手段を取ります。どれだけ謝ろうが、どれだけ反省のそぶりを見せようが、何歳であろうが、関係ありません。子供が行なっていた場合は、必ず親権者である親に責任を取らせます。


この動画を見ていなかったから知らなかった。などという戯言は聞きません。


それでは、皆さんが良識ある人間であることを願っております。」


この動画は1日も経たないうちに、500万回以上も再生されていた。

コメント欄には、


「人殺しがお願いできる立場だと思ってんじゃねーよ。」

「殺された二人は押さないでくれってお願いする前に、お前の手で殺されちゃってるんだよ。」

「仮にもお願いするんだったら、土下座して頭を地面にこすりつけながらだろ。」

「絶対にお前の居場所を見つけ出してやるから。」

「二度と、安心して眠れないように追い込んでやる。」


といった書き込みが相次ぎ、想定通りといえば想定通りだが大炎上していた。

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