第5話
夏樹。ぽつりとはなったその言葉は川瀬夫妻には聞こえないくらいの小さな声だった。お線香をあげた後、リビングに行くと、昼食が用意されていた。そうめんだった。
食べ終わって後片付けを手伝っていると、「ミナちゃん、今お付き合いしている人はいるの?」そう聞いてきたのは川瀬さんの奥さん、リエさんだった。「はい、この秋に結婚します」私がそう答えるとリエさんは安心したように「幸せになりなさい」と優しく言ってくれた。それから私は挨拶をして川瀬さんのお宅を後にした。
お昼を過ぎてからもセミは鳴き続けている。帰り道、私はバスに乗らずに歩いた。
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