第6話

高校二年の夏。その日の朝、セミの鳴き声で目を覚ました。初蝉だ。夏の始まりを感じうれしくなった。登校中も思わずスキップをしていた。すると後ろから「ミナ」と声をかけられた。びっくりしたが、すぐに誰だかわかり、振り返った。彼の名前は川瀬夏樹。高校一年生の夏から付き合い始めた同じクラスの男の子だ。それから二人で登校した。私はそわそわしていた。今日は付き合って一年の記念日だ。手作りのクッキーを作ってきた。しかし渡すタイミングを計っているうちに学校に着いてしまった。一日中そわそわしていたと思う。下校時間になり夏樹と一緒に歩き始めた。今しかチャンスはないと思い、名前を呼ぼうとしたそのとき、夏樹につきとばされた。クッキーの包みは手から落ちた。

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