19.嬉しい‥嬉しい‥嬉しい‥side櫻井桜乃
入学式の翌日
今日は朝からクラス発表があり、そのまま自分のクラスに移動する事となる。
蓮華君の事はお母さんには話していない
昨日の事が夢か現実かまだ判断できないから
クラスの割り当てを見る
‥自分の名前よりも先に蓮華君の名前を探してしまうのは仕方がない事だと思う。
‥‥!あった!!
一年二組!
‥‥‥!!!
私も同じクラスだっ!!
やったぁぁぁああ!
もう教室に蓮華君いるかな?
浮かれ気分で教室へ急ぐ
一年の教室は二階にあるみたい
私は急いで二階へ向かう‥
と、急ぐ気持ちに足が追いつけず
階段で足を踏み外してしまった‥
‥ぇ
頭が真っ白になる
くるだろう痛みに目を瞑る
と、私の背中が何か温かいものに包まれた
「っ‥と、気を付けろ。‥久しぶりだな、櫻井」
久しぶり?
驚いて振り向くとそこには蓮華君がいて‥
櫻井‥
そこにどうしようもない距離を感じてしまう
名前で呼んでくれないの?
自然に出てこようとする涙を堪える
泣くのを我慢するのに精一杯で、何の言葉も返せなかった
本当はね、話したい事たくさんあるんだよ?
そのまま行ってしまった蓮華君へ向けた私の手は虚しく空を切った。
その後のクラスの自己紹介はほとんど頭に入ってこなかった。
‥蓮華君の自己紹介だけはしっかり聞いてるけど
校舎の見取り図と施設の説明も終わり、今日の学校は終わり。
‥一緒に帰ろうって誘ってみようかな
そう、私が悩んでいると‥
「ツキー!一緒に帰ろ!今日はこの辺り色々案内してくれるんでしょ?」
「おー、そうだな。行くか」
ツキというのは蓮華君の事みたい
蓮華君は今から三崎さん?だったかな?にこの辺りの案内をするみたい。
‥‥あの2人付き合ってるのかな
うぅ‥胸が苦しい
教室から出て行く2人を眺めていると、桃が話しかけてきた。
笑えなくなってしまって塞ぎ込んでいた中学時代、私はただただ暗かった。
ずっと蓮華君にべったりだった私に対して、同じ小学校からきた人は気まずい感じで声をかけ辛かったと思う。
そんな中ずっと声をかけてくれた子がいた。それが桃。
違う小学校出身で、席が隣だったのが切っ掛け。
無口になってしまった私だったけど、ずっと側にいてくれた大切な友達。
「あのヤンキー君って桜乃の知り合い?」
「!?‥何で?」
「入学式で桜乃が倒れた時さ、抱えて保健室に連れてったの、あのヤンキー君なんだよね。それで、私も心配で保健室行ったらさ、あのヤンキー君が優しい顔して桜乃の頭なでてさ」
「‥」
「それで、私の聞き間違えかもしれないけど、『ただいま、桜乃ちゃん。』って」
‥そっか蓮華君が運んでくれたんだ
またお姫様抱っこしてくれたのかな?
それに、桜乃ちゃんって‥
嬉しい‥嬉しい‥嬉しい
まだ硬い私の表情筋だけど、それでもニヤけてしまう
「うわ、桜乃顔真っ赤。なにその表情、初めて見るんだけど‥あれ?ひょっとしてだけど‥前に聞いた幼馴染みの‥」
コクリと頷く
「なるほどー、でも三崎さんだっけ?あの子って彼女かな?」
そう、そこよね
そのあたりを踏まえて色々と考えなきゃ
そこで桃の腕をガシッと掴む
「桃、これから作戦会議!うち来て」
相談役として桃には強引にうちに来てもらう
「あれ?桜乃何かキャラ変わって‥って、分かった、行く、行くからー」
お母さんも交えて3人で話そう!
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