13杯目 チャイ

少しずつ涼しくなってきて、金木犀の香りに包まれる季節。夏を振り返って、これから来る冬に期待を抱いて。


何を食べようかな。何をしようかな。何を着ようかな。どんなメイクをしようかな。


食欲の秋。音楽の秋。芸術の秋。スポーツの秋。秋服。ブラウン系のコスメ。いや、あえてのピンク系か。オレンジもいいな。



いちばん大切なものを忘れていた。



読書の秋。



本をなしには私の人生を語れない、というと大げさなように聞こえるかもしれないけれど。


数年前に買った本を何冊も読み返しているけれど、たった数年しか経っていないはずなのに、当時とは視点が変わっていたり、いまだから思うことがあったり、読んでいた当時を懐かしんだり。


当時は当時で、いまはいまで、それぞれ違う面白さがそこにはあって、とにかく楽しい。



なくてはならない存在なのだと心から思う。






涼しくなってきて、温もりが恋しくなってきて、そんな切なさや儚さにすら心が躍って。

金木犀ってなんて素敵な香りなのだろうと思う。

とても甘くて、でも不快ではなくて、少し酸っぱくて、渋くて、包まれると安心するような、胸が焦がれるような。






冷たい風に吹かれて、なんだか心細くなったとき。暗くなるのが早くなって、気持ちが落ち込みやすくなって、孤独を感じたとき。

人生悪いことばかりではないと言われたって、簡単に心が晴れるわけではないのだ。

なんて、そんな自分に寄り添ってくれるような、温まる1杯でありますように。

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