8杯目 コーラルピンクのレモネード

うだるような暑さ。頬を撫でる生ぬるい風。体に貼り付いたTシャツ。

途切れることなく聞こえてくる蝉の合唱。


麦茶の入ったコップの外は濡れていて、持っていたアイスが手首をつたっている。





8月も終わるというのに、秋の訪れを感じることなんて全くない。




「夏休み」なんて、上から決められた規則的な授業がないというだけで、

学校部活はある。課題もある。進めておきたい勉強もある。

もちろん、やりたいこともたくさん。



新しいコスメも洋服も見に行きたいし、好きな小説の新刊も買いに行きたい。

友達と花火をしたり、おいしいものを食べにも行きたい。



ウイルスの感染拡大を受けて、まだまだ自粛が必要な時期。

結局今年の夏休みも部活があった日以外だらだらと過ごしちゃって、

なんとなく終わりそう。







___夏休みが終わる。







夏休みが始まる前までは、あれをしよう、これをしようとたくさん計画を立てるけど、現実は計画の通りには進まない。確実にやらなきゃいけないものはやったはずだけど、それでも、どこかで存在する不安。夏休みが終わるということを考えるだけで病みそう。お腹が痛くなって、布団からも出たくなくなる。




朝、目が冷めた瞬間が嫌いだ。また今日が始まってしまうから。

学校が始まる日に近づいてしまうから。


夜、寝たくないと思う。怖くて眠れなくなる。今日が終わってほしくないと思う。









___そんなこと、言っていられないけれど。




どれだけ願ったって太陽は沈んで、月が昇る。

来ないで欲しい、とどれだけ願ったって、明日はやってくる。


今日が終わることを嘆くのではなく、明日が来ることを喜びたい。





コンプレックスは直せばいい。苦手なことは努力してできるようになればいい。

逃げれるのなら逃げてしまってもいいと思う。



1つずつ...だ。 何事も1つずつ。


すぐには変われなかったとしても、いつか変われるはず。変わる日が来るはず。

努力が報われたと思える日がきっと。


そんな日を信じて、すべてを投げ出したくなる日も、弱虫なりに前を向けたらいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る