5杯目 白い息とハニージンジャー

「頑張って」って、暖かくて、残酷。



信頼してる人。一緒にいて落ち着く人。自分の大切な人。

たった一言に大きな勇気をもらう。その言葉で前を向く。


たった一言かもしれないけれど、その言葉に込められた想いって

その言葉から受取る力の大きさって計り知れないと思う。



だけど...


もっと頑張らなきゃ。

まだ努力が足りないのかもしれない。


そう思って、苦しくもなる。



こんなに頑張っているのに。これが限界なのに。

これ以上どう頑張れば良いのだろうか。


本人に1ミリも悪気がないことはわかってる。

応援してくれていることもわかってる。

それでも、言わないでと思ってしまう。



入学式の日、発表会の前、入試の朝...


記憶を辿るけど、私の記憶の中に「頑張って。」ってほとんど出てこない。

きっと、これ以上頑張れると思われてなかったから。

これ以上を求められなかったから。



1人にしてくれたこともあるけど、

何も言わずにそばに居てくれて、見守ってくれた。



頑張ってることを知ってる皆からは、「頑張ってるね。」



本番が始まる前、会場に向かうときに言われるのは、

「楽しんでおいで。」「瀬奈なら大丈夫。」「今まで頑張ってきたから大丈夫。」



今までを見てきてくれてるから、「大丈夫」って言葉に安心する。

頑張ってきたなって素直に認められる。




「いってらっしゃい。」



暖かい言葉をかける。暖かな笑顔がある。

誰かにとって、大切な人にとって、そんな居場所でありたいと思う。

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