天才だった姉と俺
かわら なお
俺の姉はいわば"天才"だったのだろう。
天才だった姉は俺にとっては障害物でしかなかった。
比べられる能力、才能。
全てにおいて姉に劣っていた俺は、見事なまでにひん曲がっていった。
世界は姉を中心に回っており、
家族にとって俺は、居ても居なくてもどうでもいい存在だった。
それが一変、姉が死んで世界が変わった。
家族も、そして俺自身も。
姉が今まで背負ってきた期待、能力。
今まで知ろうともしなかった。
俺が何気なく言い捨てた言葉の数々。
まるで一方的に殴られてるみたいに痛かった。
今まで気にもしてなかった他人の視線が怖くなった。
だから、必死に頑張った。
歯止めは効かない羨望の眼差しに吐き気がした。
気が付けば俺は姉が死んだあの場所に来ていた。
夕日が綺麗だった。
空を見上げたのは久しぶりで、何故だか涙が出た。
ずっとここに居たかった。
だから…
今まで守られてたなんて知らなかった。
ごめん。
ありがとう、姉貴。
天才だった姉と俺 かわら なお @21115
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます