はきだしどころ

居孫 鳥

第1話 影響をうけたもの、からの創作こだわり論

 オリジナリティを大切に創作をすべきだし、したいと思ってはいる、のですが……

 それでもやっぱり、触れて心動かされたものからの影響って受けてしまうものです。

 今回はそういったお話。


 2020年11月現在、私の書いている話(

Bad luck + Jump off)が影響を受けているものというと、かなりあからさまですがアレです。


 ウィッチャー3 ワイルドハント。


 あ〜!となった方、お仲間ですね。

 日本では2015年に発売されたゲームです。

 ゲームそのものが爆売れした超名作で異次元の完成度なんですけど、どこにそんなに影響受けたかといえば、圧倒的に暗くて陰惨で貧困蔓延る中世ヨーロッパ的世界観です。


 日本で一般的なオタク文化に触れて育つと、中世ヨーロッパ風ファンタジーにもそれなりに接するんですが、基本的には中世といいつつ文明の発展度としては近世くらいだったり、現代並みの衛生観念だったりすることがよくあります。

 それはそれで悪いことではありません。そういった部分が話のメインではない場合、物語に集中するために細かい描写は割愛したりもするでしょう。


 私も『よくある中世ヨーロッパ風異世界セット』的なものに慣れ親しんだ身だったので、はじめてウィッチャー3をプレイした際には大変な衝撃を受けました。


 村人はほぼ掘っ建て小屋レベルの家に住んでいる。寝床は藁。

 貧富の差が着ているものの繊維の違いや皮膚のコンディション、髪の整い具合でわかる。

 村人からの依頼の報酬がめちゃ安い。


 などなど……

 ああ〜!なるほど!となったわけです。

 日本で考えると、たとえばほんの100年ほど前、明治時代ですら、開拓地では笹だの木の皮だので作った家(誇張なし※北海道、開拓小屋でググると出てきます)に住んでたわけで、それよりさらに数百年前を想定している中世なら推して知るべし。


 そんなわけで、私の書いてる話では寝床と言えば藁だし、窓にガラスが入ってるのは金持ちだけだし、相手の身分や懐具合は服装でなんとなくわかるし、庶民は基本古着を買うわけです。


 もちろん真面目に考えはじめると、農作物の原産地は……メインとなる穀物は……香辛料が栽培できる気候は……などガチの世界史のお勉強が噛んでくるので、ある程度ご都合主義でフワッとさせてる部分はあります。

 寒い地域だと紅茶は貿易で手に入れなきゃだから、普段何を飲んでいるんだ?水質は?とかね、もうキリがない。


 ウィッチャー3をプレイして受けた衝撃は、そのへんを頭の片隅にでも置いて書くことが、作中世界のリアリティにつながるはず、というモチベに繋がっています。


 その他、これはゲームから受けた影響ではないのですが、キリスト教のない世界だというのを割と意識して書いています。

 例を挙げると、キリスト教がない場合、我々の知る地球で一般的な横文字人名はかなりの割合使えなくなるんですよね。そんなわけで人名は聞き覚えがなくかつ、覚えにくいものばかりになっています。


 異世界ファンタジーを書く場合、現地の宗教をどうするかは割と悩む問題で、よくある解決策としては、キリスト教的な形態の架空の宗教を登場させるというもの。あとは様々な神がいて、それぞれを信仰する集団が存在するパターンもよくあります。

 私が今書いているものだと、そもそも作中世界で絶対的な存在であるエルフが神の存在を否定している、というところから、人族と宗教の関わりを決めています。

 ちなみにウィッチャー世界だと、ドルイドっぽいものは登場しますが、キリスト教的な一神教は見かけなかった気がしますね。


 そもそもなぜ宗教がどうなってるのかにこだわるのかというと、貧しくて陰惨で暗黒なハードモード世界で生きるのに、心のよすがとなるものが絶対に必要で、キリストがいなくても、何かしらの宗教が自然発生するはずだからです。

 どの宗教とは言わないですが、現代の社会にそぐわないレベルの厳しい戒律(女性は家から出ないとか、顔や体を隠すとか)は、危険に満ちた古代社会で最低限生命を守る意図が含まれていたのでしょう。要するに成立当時はそれが合理的に働いていた。自由や尊厳よりも、死なない・奪われないことを優先せざるを得ない社会情勢だった。


『よくある中世ヨーロッパ風異世界セット』を使わず、部分的に史実を意識したり、史実と変えることを意識するだけで、世界観はだいぶオリジナルみが出る感じ。

 これはどこにも存在していない特異な世界観を生み出すのと、ガチの史実準拠世界観の中間の立ち位置で、そういう意味ではよくある系世界観の亜種なんですが、よくある系を導入するよりも世界設定の楽しみが広がるので、個人的に好きなやり方です。

 年代的に中世を想定しているけど、割と文明進んでいる系の場合、史実と違って異民族がやってこなかったので文化の停滞が起こらなかったのだ……的な理屈つけてみるのも面白い。


 好き勝手書いたらだいぶとっ散らかりました。

 とりあえず自分としては既存の創作物でも自作でも、世界観考察が三度の飯より好きなので、世界観は第二の主人公くらいの勢いでやっております。

 皆様はどうですか?異世界ファンタジーの文明の程度について語りませんか?

 

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