別荘

みずのやどり

第1話

忘れたかった。

捨ててしまいたかった。


いつか貰ったクッキー缶に

赴くままに入れたコイン。

どのくらい溜まったのか。

投げ入れたのは希望のはずだった。


観葉植物の花が咲いた。

停滞していた空気が変わるのかもしれないと期待した。

花の香りは期待とはうらはらに少し強烈で、ソワソワした。

そう、ソワソワしたのだ。


自分の直感は信じるべきだったのかもしれない。

そして、厄介なことに人は嫌な予感を打ち消したい生き物なのだ。


感じた事が悪い事だと言葉にするのははばかられる。

笑顔でやり過ごし、気にせいだとした方が楽かもしれない。

それもまた正解だ。


立ち向かえるのだろうか。

何ができたのだろう。

何ができるのだろう。


綺麗な雲が心地いいスピードで移ろっていく。

変わっていく雲は希望だ。

目に見えない大きな力はきっと存在している。

変えていく。















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