婚約破棄されたけれど、すべて私が仕組んだことですby某国の王女
みるくれもねーと
プロローグ
金色に輝く大広間には、たくさんの着飾った人々が楽し気に歌い、踊る。頭上で煌くシャンデリアは、夜の闇をこの会場に寄せ付けない。
誰もが憧れるような、舞踏会の会場で、私は婚約破棄宣言を言い渡された。
「アイリス・スペンサー、本日を持って君との婚約は破棄する。」
堂々としたこの声が響き渡ると同時に、会場内で談笑やダンスをしていた人々は、次々と動きをピタリと止めた。そして視線は私たちへと集まる。
「一体、何が行っているんだ。」
「あの二人は、随分前から冷めた関係と聞いていたけれど。」
「王子が婚約破棄なんて、余程何か問題があったのか。」
さざ波が広がるように、人々の囁き声が広がっていく。
私は、(やっぱりこういう場所で、婚約破棄宣言をされるって気分のいいものじゃないわね。書留か何かで送り付けてくれたらいいものを。)と考えていた。
ただ、王子の方は何やら直接私に言いたいことがあるらしかった。
「おまえは、どうしてこうなったのか、これまでの行いをよく考えるんだな。」そういうと私の元婚約者は、自分の後ろをチラリと振り返った。
そこにはプラチナブロンドが眩く、サファイアのように美しい瞳をした、可憐な少女が目に涙を溜めていたのだった。
そして「あまり、怖い言い方をしないで。ギル様。」そう言って、「ギル様」の服の裾を掴む。
「でも、君にひどい目を合わせたのは、アイリスなんだよ。悪い物は懲らしめないとね。」ギルはそう甘い声で彼女に説明すると、
「学園での、リリーに対する数々のお前の暴動は、次期王妃への侮辱と見なして、お前を国外追放とする。」と高らかに宣言したのだった。
「国外追放!?」
「てことは、ギル王子様はリリー王女様と婚約するのか?」
などなど、会場の人々がざわざわと、ざわついた。
(ここまで来るのにどれだけかかったか。全くやれやれと言った感じね。)
私はそう思いながらも、王子の後ろでプルプル震えているリリーをちらりと見ると
彼女は私にだけわかるように、軽くウィンクをした。
それを確認すると、私は静かに会場を後にしたのだった。
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