第4話 狩猟許可証
「で、なんで、あんたまでついて来る?」
翌日、狩猟許可証を持って訪れた私に、朝霞は冷たい視線を浴びせてきた。
「なぜって、それが条件だからです」
昨日、情報省に戻った私は、必要な書類を環境省に提出した。
狩猟許可証はその日のうちに下りたが、それには条件が付けられていた。
その条件とは情報省の職員……つまり私が朝霞を監視する事。
それを聞いて朝霞は顔をしかめる。
「環境省の奴ら……そういう嫌がらせを……」
嫌がらせ?
「私こそ聞きたいです。朝霞さんの狩猟許可が今まで下りなかったのは、過去の狩猟で不適正事案があったというからじゃないですか。なんでも、以前に鹿猟の申請をして自然保護区に入ったのに、鹿以外の動物を撃ったとか……」
「イノシシを撃ったのだよ。こっちが襲われそうになって仕方なく……」
「でも、その後イノシシを料理したそうですね」
「料理しないと、もったいないだろ」
「でも、朝霞さんは以前からイノシシ猟も申請していたけど、認められなかったそうじゃないですか」
「ああそうだ。豚肉とどう違うと言われてね。だから、襲われたというのは嘘で、最初から狩る目的だったのではないかと疑われた。だがドローンの映像で、俺がイノシシに襲われかけた事は証明された。これに関しては何も問題はないはずだ。それなのに環境省の奴らは、それ以降の狩猟に許可を出さなかった」
「でも、正当な理由なしに申請を却下できないはずでは……」
「過去に問題があった者を自然保護区に入れるには、監視役が必要になる。つまり、環境省の職員が俺に同行しなければならないわけだが『今は人員がいないから待て』と言ってずっと出さなかったのだよ」
「本当に人がいなかったのでは?」
「そんなはずはない。奴らは環境保護団体に騒がれたら面倒だから、狩猟許可なんて出したがらないんだ。ところが、今回は情報省からの仕事。
「でも私は情報省の職員ですよ。いいのですか?」
「知らん。環境省が認めたからいいのだろう」
いいのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます