ジャズピアノ弾けないコンプレックス
3年ほど習ったジャズピアノのレッスンを辞めてから、1年弱が経過した。
辞める際、先生にも「これからは自分でマイペースに練習したいと思います」と、宣言だけはしていた。
いざ辞めてから、案の定しばらくピアノに触らない日々が続く。
やっぱりね。そうなるよね。自分で好きな時に練習できるイコール張り合いがない、切羽詰まらないと何も始められない性格だからね。自分のことだもん、わかってるわかってた! ね!
と、まあ、自分で自分にがっかりしていたわけだが、ある日ふと
「このままじゃ私は、今度は『ジャズピアノ弾けないコンプレックス』を抱えたままになるんじゃ……?」
と思い至ってしまった。
同時に、長いこと患っていたピアノ弾けないコンプレックスの苦しさを、まざまざと思い出してしまったのである。
これからの人生、こんな自分の中だけの、しょうもないコンプレックスに悩まされ続けるなんてまっぴらだ。
克服するにはやるしかない! これ以上、時間を無駄にしてたまるかああああ!
というわけで一念発起、レッスンで得た知識とテキストの復習、そしてジャズピアノハウツー動画を見漁る趣味を復活させた。
もちろん習っていた時からいろんな動画を見たが、解説内容は理解できても、先生と違うことを言っていたりといまいちピンと来なかった。
冷却期間(?)を置いたことが良かったのか、改めて見直した動画の内容が今になって理解できるようになっていたのだ。
ああ、これに気づくのがレッスン中だったら、今ごろどれだけ成長していただろうか!
ほとほと自分の飲み込みの悪さにうんざりしつつも、久しぶりに鍵盤に向かう楽しさを味わっている。
ちなみに上達の度合いは、レッスン知識の下地があるにもかかわらず、亀の歩みどころかカタツムリの歩み以下である。とても特技として人前で披露できる腕前ではない。
先は長い。
◆
とりあえず毎日鍵盤に触ることを目標に。無理せず気分で好きな時に好きなだけ。
練習の最初は指のウオーミングアップとして、ハノンを1番から10番まで。練習再開直後の数日間は笑ってしまうくらいドタバタだったが、続けるうちに習っていたクラシックピアノの感覚を思い出してきて、少しずつ音が揃ってきたしテンポも上がってきた。
ジャズなので2拍4拍でメトロノームを鳴らす。それだけで若干気分がノリノリになるのがおもしろい。
次にコード。ジャズピアノの仕事はほとんどが伴奏、つまりコードが弾けなければお話にならない。
コードについては奥が深くて、とても全部は把握できないので、ツーファイブワンの基本の基本とプラスα程度をとにかく何も考えずに弾けるようになるのが目下の取り組み。
付随して、セッションのド定番曲のコード進行をおさらい。余裕があればスケールと、アドリブも少し触る程度に。
ジャズといえばアドリブ、アドリブが弾けなければジャズが弾けると言えないと思うが、ここもまたコード以上に奥が深い。
正解がないので、一曲仕上げるまでに果てがないのだ。
たとえるなら、目の前に登るべきたっっっっっかい山が聳えているのに、こっちは手ぶらでジーンズとスニーカーしか装備できてないよってくらい、ちゃんとしたアドリブをこなすまでに、今のレベルとの隔たりがあるのを感じている。
時々先を見上げて絶望するが、まずはジーンズとスニーカーでも大丈夫な近所の公園から、楽しく行けるようにならなければ始まらない。
そこから少しずつ遠出して丘へ、低い山、もう少し高いへ。その間に装備ももう少し揃えて、いつか憧れのあの山へ登れるように、準備と練習を積み重ねていくしかない。
それまでに人生が終わらないことを祈って、日々の健康にも気をつけないといけないなと思っている。目も耳も消耗品なのだということを最近とみに実感している。
◆
おばあちゃんになってもピアノを弾き続けることが人生の目標であるという話は、以前のエピソードでも書いたとおりで、今もそれは変わっていない。
さあ30年後、「あら私ジャズピアノ歴33年よ」と笑っていられるだろうか。
(20210301)
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