性格と音色

 生楽器は奥深い。


 通っているピアノの先生のお宅では、ミニグランドピアノでレッスンをしている。ボストンピアノという、スタインウエイのカワイOEMブランドらしい。スタインウエイのデザインを受け継ぎつつ、カワイらしい明るい音色が特徴とのこと。

 私はピアノの音としてはカワイが好きなので、先生と好みが似ていてやったーって感じ。


 生楽器は生きているため、マメにメンテナンスが必要だ。

 月に4回ほどしか通っていないが、ああ今日は調律後でバシッと音が決まるな、ああこれはもうすぐ調律師さんを呼ぶんだろうな、今日は雨だから、晴れだから、夏だから冬だから、で微妙に音が違うのもわかる。

 生楽器は憧れだけど、普通の家庭ではやはり電子ピアノで十分だなあと思う。いずれ、もう少し上のグレードの電子ピアノを手に入れたいと思っている。だって習い始めの頃はわからなかった違いが、もうわかってしまうから。

 電子だろうが生だろうが、楽器の良さは値段に比例する。例外はない。



 生楽器は演奏者によって音が変わる。同じ日に同じピアノの同じ鍵盤を叩いていても。


 たくさんの生徒さんを見てきた先生曰く、音色で性格も丸見え(丸聞こえ?)なのだそうだ。

 おとなしめの性格の子は音もおとなしい。おしゃべりが得意な子はフレージングが上手。口下手な子はぶつ切れの演奏になる。らしい。

 ちなみに私は「短調でもどこか明るい音」という評価をいただいた。「きっと根が明るいからね。暗い曲も暗くなりきらないのね」とのこと。それがいいのか悪いのかわからないけど。


 楽譜の読み方、練習の進め方でその人の頭の良さや理解力、何が得意でどこが苦手か、みたいなのも全部見えてしまうらしい。


「慎重派よね。もっと思い切ってぱーん! って行っちゃっていいのよ! 失敗したくないからだと思うんだけど、もっと自分を信じて大丈夫だから。次なんだったっけ、って頭の中でごしゃごしゃ迷ってるのも見えちゃったよ」


 ただの練習不足だけじゃなくて、そこまで見抜かれてしまう。


 曲のレッスン以外で学ぶことも多く、楽しく続いている。亀の歩みかもしれないけど、大人になって手に入れた一生の趣味のひとつだ。


(20170219)

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