第187話 スワニーゼ 本心を叫ぶ
「思い上がりもいいとこだわ!」
「レディナ。私たち選ばれた種族はね、管理しなきゃいけないの。お前たち人間みたいな下等生物を──。それも、この国だけじゃなくて全世界に。それがあなたたちにとっての幸せなの。一番の選択肢なの」
「一番の選択肢? ここにいる人たちをみんな殺しておいて? みんなは犠牲にならなきゃいけないの──。あんたの独りよがりで身勝手な理想のせいで?」
スワニーゼはくるりとこっちを振り向くとそばにあった椅子を蹴っ飛ばす。そして開き直ったように反論する。
「そうよ犠牲になるわ。けれど何が悪いの? 大天使様を信じない汚物より心が汚い、この世のゴミクズども。 そんな奴は、殺すの。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺してツァルキール様が作り出す素晴らしい世界を作るための礎となるのよ」
「そんなことないわ。そんな世界、私達だって、ツァルキール様だって、だれも望んでいないわ。あんたの独りよがりな正義感。そんなものじゃ、誰一人救われない──。そこに笑顔はないの。受け入れなさい!」
レディナはその言葉に真正面から否定して反論。彼女の強い信念に負けないようさらに強く反論していく。
「ツァルキール様のことを想像しなさい。誰よりも優しく、人々のことを思っている人。それが貴方の言うように信仰を忘れたくらいでそんなに人が死んでいく姿を見てよろこぶとおもう? 絶対悲しむ。私ならわかるわ!!」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
自身の両手で耳をふさぎ、強く頭をふさぐ。
俺たちの正論を聞き入れたくない、聞き入れたら今までの価値観が破壊され、発狂してしまうような感情を強く感じる。
「当たり前じゃない。それだけじゃない、信仰をすると言いながら異教徒に対して何もしない クソ信者たちもそう。ヤツらも結局同じだった。すぐ隣で邪教を信仰する奴がいながら、何もしなかった。信者たちも、日和見主義者だった。本当に大天使様を信じているなら、そんな邪教徒、一匹でも多くぶっ殺さなきゃいけないのに!」
「はぁ? そんなの認められるわけがないだろ」
匹──、殺さなきゃ──ツッコミどころしかない。
「私も同感よ。あなたがやっていることは、自らの権力と横暴さの正当化ただそれだけだわ!」
レディナも同調して強く反論。しかし、スワニーゼの表情に戸惑いや罪悪感といったものはない。
「横暴? 当たり前じゃない──」
「当たり前? いい加減にしなさいよ。人々をこんなに苦しめておいて──。どうして人々のことを信じようとしないの。確かに人間たちには醜い部分もある。許せないと思ったこともある。けれど、それを乗り越えて一緒に平和な世界を作り上げていくことこそ、私達がなすべきことだと思えるの。あんたみたいに、気に入らないからみんな殺してしまえなんて極端な考えより、よっぽど険しくて、強い心が必要な道よ」
そしてレディナはピッとスワニーゼを指した。
「要するに、あなたは弱いのよ。些細な考えの違いや、信じるものの相違さえ受け入れられないね」
「頭がお花畑の人間が考えそうな妄想だわ。そんなきれいごとじゃ、この国を背負うなんて、この世界を変えるなんてできないわ」
スワニーゼは必至な形相で叫ぶ。まるで何かにとりつかれているように──。
切羽詰まった、訴えかけるようなそぶり。
「そんなことはあり得ない。私は天界で、ずっと人間たちを観察していた。だから言えるわ──」
歯ぎしりをしながら、スワニーゼが反論。
「あんたたち人間に、こんな壮大な事業ができるの? 寿命は高々五十年ほど、権力を持てばすぐに私利私欲に走り圧政に走る。弱き人たち、善人たちはなすすべもなく傷付き、殺される。こんな世界、変えなきゃいけないの。そして、作り上げなきゃいけないのそういった人たちが報われる、世界を──」
「普通の思考回路があれば、いくら強力な権力を 罪悪感を感じ、すぐにこんなことめるわ」
感情と高ぶらせて言い放つスワニーゼに、レディナは冷静に言葉を返していく。
「それじゃあダメなのよ。私達が悪人たちを削除しないと、世の中はそんな力を持った悪のゴミクズが力を持った世の中になってしまうのよ。そして弱き人たちも自分たちが生き残るため、悪に走ってしまう。スキァーヴィのようにね。そんな世の中にする事だけは、絶対に避けなきゃいけないの。だから私は戦う必要があるの」
スワニーゼは胸に手を当てながら、今までにないくらい感情的に反論。その言葉にレディナはため息をついて額に右手を当て、呆れながら言葉を返した。
「もう、あなたに何を言っても無駄なのは理解したわ」
「そうね、私も感じるわ。あんたには、何を言っても無駄だって」
レディナはやれやれとため息をついてあきれ果てた。
スワニーゼが開き直るような笑みを見せ、言葉を返して来る。
「んで、どうするの?」
「決まっているじゃない。とらえるのよ」
「できもしないことを──」
余裕ぶった笑みのスワニーゼ。それに反論したのはフリーゼだった。
「余裕なのも、今のうちです。すぐに決着を付けます」
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