第12話 フリーゼ。人間の常識を知らなかった

「もう一つ、これから二人で戦っていくということを考え、尋ねたいことがあります」


「何?」


「フライさんは、どのようなスタイルで敵と戦ったりするのですか? 教えていただきたいのですが」


 確かに、二人で力を合わせて戦うなら互いにどんな戦闘スタイルで戦うかを知っておく必要がある。


「俺は、そうだな。基本時には後方で前線の冒険者に支援をするタイプだったかな。けど、接近戦も出来なくはないし、その場に応じて戦闘スタイルを変えている感じかな」


 というかウェルキの機嫌次第で障壁を張りながら「お前も前線で戦えクソ野郎」とか、「お前だけ後方で安全に居座ってるんじゃねぇバカ」とか言われて前線に駆り出されたりしていた。


 だから護衛も出来るけど、前線で戦えないってわけじゃない。


 そして俺は自分が使える術式を教える。対象者が受けるダメージを半分にしたり、与えるダメージを増やす術式だ。


「そうですか、後方で支援する術式が得意なのですか──」


 彼女の驚いた表情に俺が言葉を返す。


「はい。何かまずかったですか?」


「いえいえ、助かりますわ。私けっこう力でごり押しするタイプでして、頭を使って周到に戦略を練るといったことはしたことないんです。ですので後方で作戦を考えてくれたり、サポートをしてくれるととても助かります」


 ……意外だな。今まで彼女、冷静沈着な態度をしていて頭脳派だと思っていたんだけど。

 というか彼女の強さならそこまで頭を使わなくても勝ってきたんだから仕方がないか。


 とりあえず、そういう事にするか。


 そして俺たちは食事を終え、街を歩く。その後、ホテルの確保へ。

 丁度良い値段のホテルを見つける。


「すいません。部屋なんですが、一つしかないんですけどいいでしょうか?」


 一つ、つまり相部屋になってしまうということか。さすがに男女で同じ部屋というのはまずいよな。


「フライさんと同じ? 構いませんよ」


「えっ、いいの? 俺と一緒の部屋で」


 大丈夫なのかよ。若い男女が一つの部屋で……、何も起こらないわけもなく。──その万が一のことだってあり得るじゃん。


「私は構いませんよ。いろいろコミュニケーションをとるのに便利ですし、フライさんならそんな間違いを起こさないと信じていますから」


「そ、そうなのか。誉め言葉として受け取っておくよ」


「それに、もしフライさんが間違いを起こそうとしていたら、フライさんをハンバーグの素材にすればいいだけですし」


 ──反応に困るような言葉を言わないでくれ。


 とりあえず、フリーゼが大丈夫ならいいや。宿代だってバカにならないし。


「了解しました。その部屋を紹介してください」


 そしておじさんからキーを受け取り、階段を上がって二階の部屋へ。

 少々狭いが。それなりに綺麗でベッドが二つある部屋だ。


「ずっと歩いてここまで来たんだちょっと休もうか」


 ずっと歩いてきた疲れもあり、俺は荷物を使においてベッドに身を投げ出す。とりあえず体を休めようか。


 そして……。


「疲れましたわ──」


 フリーゼも、大きくため息をついた後、一息ついて、ベッドに座り込んだ。

 そんなことを考えていると、フリーゼが信じられない行動に出る。

 彼女がすっと起き上がる。


 バサッ──。



 何といきなり服を脱ぎ始めたのだ。上着を脱いで丁寧にたたみ、ベッドの上に置く。


 彼女の引っ込んでいるところは引っ込み、出ているところは出ている抜群なスタイルが丸見えになってしまっている。


 胸を押さえているさらしも、絶妙に彼女の色気を出している。

 その色気あるボディに思わず見とれてしまう。


「なんでしょうかいきなり、私の体に何かついているのですか? そんなに私の体をじろじろ見て」


「とりあえず服を着ろ! 女の子が、異性の前で何のためらいもなく服を脱ぐんじゃない」


 俺は当然の反応をする。こいつには恥じらいというのがないのか。俺じゃなくてウェルキみたいなやつだったら即お楽しみになってもおかしくはないぞ。

 しかしフリーゼは俺の言葉に対してキョトンとしていている。どうして自分が責められているかわからないようだ。


「別にいいじゃないですか。男女の営みをするわけじゃないんですから。もしかして、発情をしてしまったとかですか? 聞いた事があります。この世界の男性は、異性場合によっては同性の裸体を見てしまうと性的興奮を催してしまうことがあるらしいですね」


「そ、そういうわけじゃない。けど──」


 俺はこれ以上、追及するのをやめた。

 恐らく、ずっと遺跡にいたせいで自分の体を見せることに対する羞恥心が存在しないのだろう。


 そして二人は座りながら、今後のことを話す。彼女は下着姿のまま。

 我慢だ我慢。


「とりあえず、明日からどうしましょうか」


「そうだな、パーティーとして動けるよう物資の準備をしていこう。そしたらギルドから遺跡へのクエストが来る頃だから遺跡のクエストに行こう」


「了解しました。まずは冒険者としての準備ですね。私はそういったことはよくわからないので、よろしくお願いいたします」



 その後二人で夕食を食べて、シャワーを浴びて寝た。

 シャワーを浴びるとき、タオル一枚で俺の前に現れて、騒ぎになった。

 やはり彼女はずっと遺跡の中にいたせいで、そこら辺の感覚が他の人とは大きく違うらしい。

 俺の前だけならいいが、これから先、仲間と行動することになったら大変のことになりそうだ。良からぬ展開になったり。


 そこは、彼女のプライドを壊さないように優しく教えていこう。

 なんにせよ、新しい日が始まった。これから、今までとは違う大変さが待っていると思う。けれど、せっかく俺のスキルを活かせそうな状況になったんだ。


 これからも、自分の力を精一杯使って頑張っていこう。










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