第2話 振り回されてる?

付き合い始めて、はや二日。何事も無く穏やかなキャンパスライフを送る日々。

講義が終わり長机に突っ伏して一息つく。

「ありゃりゃ?」

珍しい栗色のくせっ毛の入った頭を傾げて赤坂は呆然とする。

「恋人ってそんなもんなのか?普通、お迎えに来て、うふふ、あははするもんじゃないのか?」

一人首を傾げている「おい」と怒鳴るような声が背後から聞こえる。

「はいっ!」

反射的に振り向くとそこには、告白してきた男がいた。

「はっ?!貴方は!いつぞやの...」

目を丸くすると同時に首根っこを掴まれて引き摺られるように外へ出る。

「ええっ?はっ、もしやこれが一緒にお昼食べよ♡的な事なのか?」

100人に聞いたら全員違うと答え喧嘩を売られてるとでも言いそうな歪な光景さへ赤坂には、幸せなものだった。

赤坂の初カレ補正というのは度が過ぎたものでもあった。

「どこ行くんですか?名無しさん!」

「あ?」

「だって、2日前名前言わずに去ったじゃないですか!名無しさん」

引き摺られつつも話しかけると返ってくる返答はどれも冷たいものだった。

「東堂 幸雅」

「へぇー、そうなんですね!幸雅さん?」

「・・・」

これ以上何を言っても黙りを決め込む東堂に諦め引き摺られるまま流れに任せると

「わぁあ、ここ何処なんですか?幸雅さん」

「二人の秘密基地だ、他の奴にばらすなよ?」

小さな庭園のようで人が居らず二人である。綺麗な緑の草木に4つのベンチというありきたりな中庭だった。

「で、これから何するんですか?」

一緒にお昼でも食べるのかと思ったら

「おいお前、飯買ってこい」

「ぽへ?」

「飯、腹減ったの買ってこい」

「ご飯、ですか。わかりました!すぐ行きますね。お金は?」

無言の圧力とはこういうことだろうか、まるで自分の金で買えとでも言われているようだった。

「んー、まいっか、行ってきますなんでもいいですか?」

「好きにしろ、ここに持ってこいよ」

「はい!」

そう行って一目散に走り出した。


「恋人ってみんなこう言うもんなのかな?」

その日から、お昼は自腹で払い買っては無言で食べて去っていく。

「んん?」

話しかけてもうんともすんとも言わない

「あれれ?」


―恋人関係と言うのはやはり難しいものなのか

などと結論付け今日も購買に走って行く。

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