ざまぁ系がWeb小説が流行る理由SF
ロボ太郎
ざまぁ系がWeb小説が流行る理由SF
「そう、この世界は『ザマーコンピュータ』によって支配されていたのだ。」
「『マザーコンピュータ』じゃなくって?」
助手がいつものように尋ねる。
「ザマーコンピュータだ。」
俺はもっともらしく説明を続ける。
「人類の英知はどんな時に一番進められたか。もちろん戦争である。」
助手はやれやれまたいつものデタラメか、という顔で話を聞いている。
「戦争の中でも大規模なものは必ず『非難の対象』が作られてきた。 『ナポレオン』『ヒトラー』『スターリン』『フセイン』」
声に熱がこもる。
「勝つ側は、必ずといっていいほど、敵に対するプロパガンダを行った。 『あいつらはあんなに残虐なんだ』『絶対に打ち倒さなくてはいけない』」
「だからこそ、我々は勇気をもって戦うことができたんだ。 それは今だって変わらない。」
「つまり、我々は『悪者を糾弾すること』自体に快楽を覚えるんだな。」
「そうかもしれませんが、群を作る動物には一般に見られる傾向です。 だから、なんだと言うのですか?」
助手がつまらなそうに長い髪をいじっている。
「ここからが本題だ。我々の国で、なぜデモが起きにくいか。なぜ政権交代が起きにくいか。」
「疑問に思ったことはなかったかな?」
「それは、諸外国ほど大きくない貧富の差と、比較的穏やかな国民性のせいでは?」
「違うんだな。」
俺は深刻な顔で助手に顔を近づける。
助手はめんどくさそうに顔を背ける。
「政府によるザマーコンピュータ制御があったからなのだ!」
「国民による政府の打倒とは、それ即ち『悪い奴らを倒すこと』の快感に基づく運動なのだ。」
「もちろん志高い人物の運動もあるが、それにのっかる大半の大衆は、快感に基づいて動いているに過ぎない。」
「博士、お茶、入れてきますね。」
ついに助手に席を立たれてしまった。
俺は給湯室までついて行って説明を続けた。
「つまりだ、その快楽を満たしてしまえば、政治を安定させることが出来るのだ。」
「ザマーコンピュータシステムは、徳川家康の部下の南蛮人が発明したと言われてもいる。」
「現代では、『テレビ』『Twitter』そして『Web小説』までもがザマーコンピュータの支配下におかれている。そのどれもに政府の対策資金が流れているのは周知の事実であろう?」
「つまり、我々は、操作されていたんだよ!! わかるかい?」
「はいはい、わかりましたよ。博士の好きなカモミールティが入りましたので飲みましょうね。」
俺は助手に説明を続けようとしたが、飲まないと続きを聞かない仕草をしたので、カモミールティを飲む。
「はい、落ち着いてきましたねー。」
助手が背中をさすってくる。
確かに落ち着いてきた気がする。何であんなに怒っていたんだっけ。
「カモミールティには落ち着く成分が入っていますからね。」
「もう疲れているみたいですし、寝た方がいいですよ?」
「そうだな。もう寝ることにしよう。ザマーコンピュータってなんだよ、ばがばかしい。」
俺はゆったりとした気持ちになったので、今日はもう寝ることにした。
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