第10話
ステータス更新の為ギルドへと訪れた俺達。俺は以前と同じくマルロさんに対応してもらうことにした。
「お久しぶりです蓮さん。決闘見ましたよ!まさかあの魔法があんな力を秘めていたとは・・・!とにかく、お疲れ様でした」
「ありがとうございます!魔法に関してはアリアさんに使い道を教えてもらったからってのがありますけど」
「それでも凄いものは凄いですよ。--おっと、申し訳ない話が逸れてしまいました。今日はステータス更新でしたよね?」
「はい、Eランクだと碌にクエストも受けれないので・・・えっと、更新料いくらでしたっけ?」
ステータスは初回作成時は無料だが、更新をする時などは料金が掛かるのだ。
「2000ガスタとなります」
2000ガスタ、この世界のお金は日本円と変わらない。つまり1ガスタは1円という訳だ。違う点として、この世界は紙幣がないので1000・10000ガスト硬貨が存在する。
力作業をこの1か月していたので、お金は持っている。俺は更新料を支払い、マルロさんと共に例の運動場へと向かった。
1か月前はここで辛酸を舐めたんだよな。散々な結果のせいで結果最低ランク、だけど今回は違う。たかが1か月だが毎日すごく努力をした。結果的にCランクを倒せるほどに。
--よし!やってやんぞリベンジ!
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[速さ][体力][腕力][俊敏性]運動テストでは、これら4つの要素を確認する。日本で言うと、速さは100M走、体力は1500M、腕力は腕立ての回数で、俊敏性は反復横跳びだ。1か月前は特に体力が致命的だった。何せ走るたびに吐いていたからな。
だが今回は違う!アリアさんとの修行でも馬鹿みたいに走らされたり、クエストという名の肉体労働をしていたのだ。そのおかげで、今回のテストはとんでもない結果となった。
速さ10.2秒 腕力30秒で72回 俊敏性こちらも30秒で90回 そして体力・・・3分58秒!なんと4分を切った。これは凄いだろ?自分を自分で褒めてやりたい、よくやった!
初回であればこの後魔力の検査を行ったのだが、魔力というのは大きさが変わらないらしく、検査はないそうだ。
そして受付に戻り、マルロさんがステータスの更新を始める。ドキドキする、Cランクは行ってると思うんだが、あわよくばBランクで!
「お待たせしました。こちらが蓮さんの新しいステータスです」
待たされたステータスプレートを恐る恐る確認する。そこに書かれていたのは--
速B 体C 力C 機B 魔力A
総合評価--B!!
「B・・・ランク・・・!よっ・・・よっしゃー!!!」
あわよくば位にしか思っていなかったのに、まさかBランクまで上がれるとは!やはり魔力でAを取っているのがでかいのだろう。
「あの!すいません俺もう戻ります!アリアさんに伝えたいんで!!」
「--ええ、いってらっしゃい!」
俺は全速力でアリアさんの元へ向かった。そんな俺を見て、アリアさんも同じく走ってきて、抱きしめてきた。
「えっ、ちょ・・・アリアさん?!恥ずかし・・・あ、良い匂い、あとやわらか・・・じゃなくて恥ずかしいんで離れて!」
「何故だ?弟子の成長を喜ぶのは師匠の務めだ!それで、どうだった?様子を見るにCじゃないんだろ?」
速攻ばれたな。まぁすぐ言うつもりだったし良いけど。
「はい、半分くらいCでしたけど、総合でBランクでしたよ!ほんと、アリアさんのおかげです」
「蓮・・・いつも言ってるだろ?私は飛び方を教えただけ、実際飛んだのはお前だ。今度それを言ったら私は怒るぞ」
「あの・・・はい。俺頑張ったんでBランクになりました!」
「うん、それでいい!・・・で、蓮。あのクエストはどうする?今日やるか?」
俺はランクが上がったらあるクエストを受注しようと考えていた。そのクエストとは--
「はい、出来るなら今すぐにでもあいつに--チェルボにリベンジしに行きたいです」
そう、俺が受けたいクエストはチェルボの討伐。異世界に来て最初に会い、最初に襲って来たモンスターである。あの時は悲鳴を上げて逃げることしかできなかったが、今回は違う。魔法も使えるし剣だってある程度使える。ランクが上がったらすぐにでもリベンジしよと考えていた。
「よし、それじゃあ早速クエスト受注して来な。私はコルボ連れてくるよ。ギルド前で待っててくれ」
そう言ってアリアさんはギルドを出た。俺は早速マルロさんの元へ向かい、チェルボ討伐のクエストを受注した。
「せっかくBランクになったのにチェルボ討伐などで良いのですか?もっといいクエストは沢山ありますが」
「良いんですよ!例えSランクだったとしても最初はこのクエストにするつもりでしたし」
「そうですか・・・!では受注承りました!お気をつけて」
「はい、行ってきます!」
クエストを受注した俺は、ギルド入口へと向かった。その時、丁度クエストを受けにきたレヴィとすれ違った。
「あ、レヴィ!昨日はどうも。よく会うな俺達」
「どうも。こんなに会いたくはないんだけどね、悪魔の悪戯かしら」
「そんないやかよ!せめて神にしてくんない?俺結構簡単に傷つくんだぞ」
「冗談よ!・・・それよりあんたは何してんの?」
「昨日言われた通り、ステータス更新とクエストの受注だよ。そうだ・・・俺ランクなんだと思う?実はな--」
「Bでしょ」
--えっ?なんで分かるんだ?普通に考えたらCって言うと思うんだが・・・もしやエスパー?
「・・・正解。でもなんで・・・?」
「見てたら分かるわよ。あんためちゃくちゃウキウキしてるじゃない。それでCだったらそっちの方が驚きよ」
「侮るなよ。俺はCランクでも同様にウキウキしちゃう人間だ」
「侮りの使い方ちょっと違くない・・・?まぁいいわ、とにかくおめでとう。ひとまず私と同じね」
そういやこいつBランクって言ってた気がすんな。
「ありがとう。そういえばクエスト何受けんの?」
「未開のダンジョンの調査よ。ちょっと遠いところだから2週間は戻らないわ」
「へぇ、そんなクエストもあるんだな。気を付けろよ」
「新人に言われる謂れはないわよ!それに何人かで行くしね、大丈夫よ。・・・それよりあんたアリアさん待たせてるんじゃないの?」
「あーそうだった!じゃあ俺行くよ。今度一緒にクエスト受けようぜ!じゃあな」
こうして俺はレヴィと別れアリアさんの元へ向かった。
「・・・勝手な奴。まぁ・・・今度ね」
アリアさんの元へ向かう最中、俺は何かに見られている気がしたが、辺りを見渡してもそれらしき人物は見当たらなかった。なので気のせいと思い無視して進んだ。
「ふぅーん、あれが脳無し。思ってたより若いねー!」
「一体幾つだと思っていたのだ?」
「・・・30位?」
「ギャンブルであれば大負けであったぞ」
「・・・まぁ取り敢えず、近々手合わせ願おうかな」
俺を見ていたのは3人組の男達。しかし俺は、この時認識できていなかった。
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「--遅い!」
アリアさんに怒られちった。
「すいません、レヴィと話してて」
「まぁいい。それじゃあ行くぞ、コルボの背中に乗りな」
俺は角カラスことコルボに乗り込んだ。最初この世界に来た時はあまりのスピードや動きに死にかけたものだが、今回は・・・
「--アリアさんスピード落とさせて!!・・・あ、気持ち悪い」
ダメでした。幾ら修行してもそれとこれとは別らしい。前みたいに振り落とされる事はなくなったものの、相変わらず急な旋回をするので気持ち悪いのは変わらない。
--何もない雑草だけの広原。たかが1か月前、俺は急にここに放り出された。全てはここから始まった。そんな思い出の場所で--俺は取り敢えず吐いた。
アリアさんが、こんな時に・・・?みたいな顔をしているが、俺だって本当は浸りたいよ思い出に!くっそあのバカカラスが・・・!
「蓮、嗚咽に浸ってるところ悪いが、標的を発見したぞ。動けるか?」
どうせなら嗚咽じゃなく悦に浸りたかったところだよ。
「はい・・・あらかた吐いてスッキリしました!行けます!」
前方にチェルボが3体。奇遇にもあの時と同じだ。そのチェルボ達が俺たちに気づいたらしく、こちらに向かい走ってきた。
「蓮、ミッションだ。2体は私の渡した魔法で倒していいが、残り一体は剣で倒せ」
「・・・了解!」
1か月前の俺のリベンジマッチが今始まる
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