鉄骨

草った頭

第1話  女の子

 物心が着いた時、僕は目の前の人の動きを真似していた。

 後になり、その動きが格闘技の一種であるということを知る。


 僕は毎日、格闘技の動きを真似していた。

 来る日も来る日も真似していた。

 真似していない時は、いろいろな映像を見せられたり、いろんな人の会話を聞かされたりした。


 人の動きを真似している時は、いつも横からおじさんが怒号を投げていた。

 おじさんはマネージャーと呼ばれていた。


 ある時僕は、格闘技には立技と寝技があるということを知る。

 いつも僕が真似しているのは立技だった。


 寝技も真似してみたいと思い、おじさんにお願いすると、おじさんは目を大きく開いて、驚いたようだったが「バカヤロー! おめえにそんなもんは必要ねえ!」と怒鳴られた。


 僕は来る日も来る日も立技の練習をした。

 僕が練習をしていると、たまに練習場に女の子が来るようになっていた。

 女の子はいつもツマラナそうな顔をしていたが、来る頻度は高くなっている。


 ある日、僕の練習が終わると、女の子は僕の所に駆け寄って来て、手を掴み、ニィ~ッと笑った。


 あらやだカワイイ。

 僕は女の子のことが好きになった。

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