My Race, My Life

オノマトペとぺ

第1話



覚悟を決める隙も貰えぬまま

スタートラインに立たされた


自分の意志も、自分の望みも

自分自身で決める間もなく


——気づけばここに立っていた





はじめの内は選択権も決定権も

自分には与えられず、

流されるように走り出した


押されて引かれてめられて

先へ先へと進んでいく




あるとき唐突に与えられる

選択肢と責任に戸惑い、

そして世界は急に冷たくなる


——それでも進めと本能が叫ぶ



一歩一歩と、迷いながら動き出す




走り出したレースは後戻りできない

自分の望みでなかったレースでさえ


あるのは選択肢、そして自分の意志


ゴールを身勝手に決めるのも、

道を外れるのも、

いとも簡単なそのレース

いつまでもいつまでも続く道のりに

疲れ、絶望し、諦めると


ゴールテープを引きたくなる

その選択肢さえも選べるけれど




まだ後少しだけ、もう少しだけ

進んでみても悪くない




元々誰かに立たされたレース

でも走ってきたのは紛れもなく自分自身

だったら少しの期待をかけて、

絶対にあるゴールに向かって、

速くなくていい、亀の歩みでいいのなら


——もう少し進んでみよう


そう思えたその日から、そのレースは自分のものだ


他者によってはじめられたそのレースが、

自分自身によって進められる


期待してみよう、どうせなら

自分よりも自分を愛する他者に立たされた

そんなレースなのだから


順位はきっと存在しない

ライバルもきっとそこにはいない

自分のための、自分による、自分のこの人生レースは、

きっと想像以上に辛く苦しく

登り坂や凸凹でこぼこ道だらけだけど


出会うものはきっとここでしか得られない


だから


期待しよう、この人生レース


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