あの人に会いたい、それだけ

統一暦499年11月29日午後7時20分

 人のいないホール。天井の穴は修復が終わり、あの時の影は見えない。

 聡兎もリナも無言だった。どちらかというと聡兎の方が気まずそうなくらいだ。

 リナはキラメキミライのステージに立った。あの時と同じ場所。そして、あの時もこれくらいの時間だった。

「大丈夫か?」

 聡兎が聞く。

「こっちのセリフ。すごく顔色悪いよ?」

「……なあ、ずっと聞きたかったんだが。」

「……?」

「……俺のことを許してくれるのか?」

「もちろん、あのことにきっぱりけじめをつけられてはいないけど。でも、苑仁さんは私を守ろうとしてたんだから、あのことを否定すると苑仁さんも否定しちゃうし。……仕方ないことだったのは、分かってるから。」


統一暦499年11月29日午後7時23分

 聡兎の携帯電話の着信音が鳴る。

「誰だ……?」

 聡兎はステージ脇の通路に出て行ってしまった。


統一暦499年11月29日午後7時24分

 ステージの上で一人になったリナにある男が近づく。

 リナは明るい表情になる。

「ようやく苑仁さんに会える……!」

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