視聴者
統一暦499年11月7日午後5時
「ええ~!そんなの聞いてない!」
紅音が素っ頓狂な声を上げる。
「頼む!一番安全そうなのはここなんだ!」
「むー。まあ、聡兎さんがそこまで言うならいいけど……。」
「いいのか?!ありがとう!……それじゃあ、入ってきてくれ。」
聡兎に促されてリナは紅音の部屋に入る。
「お邪魔します……。」
「わぁ……!やっぱりリナちゃんすごくかわいい!」
「ありがとうございます……。」
リナはその声をどこかで聞いたことがあると思った。
「どうしたの?」
「ああ、いえ。私がよく見てる配信者の方と声が似てるなって。」
「……?」
統一暦499年11月8日午後1時20分
「……で、リナさんが紅音の配信見てくれてる私以外の一人だったのが判明したわけね。」
「そーなの!マジで運命?って感じ?かな!」
「……さいですか。」
カフェで二人、紅音と恵吏はそんな会話をしていた。
「それでさあ、リナちゃんよく分かってて。アカネの編集は手抜きじゃなくてそういう演出ってのとかさ、」
「いや、手抜きじゃん。」
「違うの!あれはああいう演出でアカネの世界観を作ってるの!」
「……へえ。」
「その目、アカネのこと馬鹿にしてるでしょ!」
統一暦499年11月8日午後1時30分
「……だいたい調べ終えたけど思考回路の不調は見つからんな。」
リナの検査を終えた聡兎が言う。
「そんなはずないです。そうでないとこんな設定されてない感情を感じるはずが……。」
「うん。確かにこの現状は君を設計したときには想定していなかった。でも、君の思考回路は精巧に人間に似せて作られている。まあ、苑仁からの依頼で不要って言われた部分は排除したけど……。それでも、俺がここまで精巧に設計したものだ。どこかの回路が想定外の繋がり方をして人間と同じように感情が発達した可能性がある。」
「……?設計した?」
「あれ?苑仁の奴言ってなかったのか。君を設計したのは俺だ。」
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