第27話 青春謳歌の敵は勉強!?憂鬱なランチタイム!

 時はお昼休みに突入。この時間は多くの生徒たちが学校生活全体の中でも上位に入る、安らげる時間帯のことだろう。お昼ご飯を仲のいい友達と食べてはおしゃべりを楽しんで羽を伸ばし、勉強に励む生徒は教師を捕まえて授業で分からなかったことを質問しに行っては有効に使ったり自由。そう、勉強が本分の学生にとっては、なにをしてもいい自由の時間である。とくにこの赤点が八十五点というエリート進学校にとっては。


 いつものように愛理と四人の男どもと楽しく屋上でお弁当タイムのはずだったが、今日は違う。


「はああああははあああぁぁあぁぁあぁ~あああ~……んっ」


 重たくてキレの悪い長い長い嘆声。もう何度目だろう。口から出しても出しても無限に出てきてしまう。桃尻家特製の重箱弁当なんて食べられたものじゃない。八十五点以下赤点って意味が分からない。現実世界の高校を探し回ってもそんな赤点の学校ないでしょうに。

 

嘆きすぎてORZみたいな体勢をする私に愛理は優しく声をかけてきた。

 

「あの、桃尻さん。少しでもいいから食べたほうがいいかと。午後からの授業だってありますし」


「うん……だよねぇ……」


「元気出してください。まだ中間テストまで二週間あります。実を言うと、私も授業についていくのがやっとなんです」


「ああ……だから毎朝自習していたのね……」


 転校してきた一般生徒の愛理でそれなら大半の生徒がテスト期間は、血尿噴射する勢いで勉強机にかじりついていたりして。ふ、私もテスト期間絶対に徹夜続き。ブラック企業勤めだったから徹夜なんてお茶の子さいさい。というか若林にでも頼んで替え玉テストしてもらおうかな。あの子、学生時代戻りたいって言ってたし、ウィンウィンじゃない?


「つーか、赤点とかどうやってとるんだよ。出された課題やりゃ九十はいけるだろ。赤点とか逆に難しくね?」


「は? あんたね、学生の九割を敵に回したわよ!」


「うっせ喋んなクソ尻」


「そういえば三咲にいって、テスト学年一位だっけ?」


「三咲くん、授業に参加していないのにすごいね!」


「別に。順位なんて興味ねぇよ」


 三咲はツンケンとした物言いをすれば、次にコーヒー牛乳にストローをぶっ差してありったけの力で吸い上げる。それも私の耳元で。こんな汚いASMR聞いたことがない。


「あーもー! どうすればいいのよー!」


「必死に勉強するしかないと思うよ……」


「そうそう。パイセンは普段からちゃんとしていないから大変な思いをするんですよぅ。というか、ちゃんと入学試験受けました~?」


「こら雅人。変な言い方しない。僕も睦月の言う通り、テストまでしっかりと勉強することが大事だよ。三咲だけが特殊なだけあって、僕たち三人もテスト期間はずっと部屋に籠りっぱなしさ」


「んもう、勉強勉強ってそれくらい分かっている。分かっているけどさあ……ほら、勉強だけってつまんないじゃない?」


「言い訳乙で~す。嫌なら留年すればいいだけの話じゃないですかぁ? あっ、でも僕と同じ学年になるのだけは勘弁してくださいね☆」


 途方に暮れる隙も与えず、矢を射るごとく四人兄弟から正論がぶちかまされる。

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