尼僧院長の憂鬱(ベルフラワーのパラレルワールド物語)
木苺
第1章:根回し
第1話 始まりの日
「尼寺へ行け」
「わかりました。私の領地すべてを修道院とし、私が院長となります。
ゆえに あなた方は男性は即時退去してください」
「な、なに~~~~~!」
そもそものはじまりは、父が財産目当てに母と結婚したことから始まる。
私の母は、リンド国国王の末の娘であった。
その第10王女であった母は、リンド国皇太子死去のショックで国王が気落ちし国政をなおざりにしていた時に、隣国デッドの成り上がりにかっさらわれて強引に妻にされてしまっていた。しかし仮にも王女であったため いちおうはきちんと教会で結婚式を挙げ正妻におさまり、結婚後はきちんと家事を取り仕切り一家の舵とりもしていた。
一方の父はと言えば しょせんは成り上がり。母の生活スタイルが窮屈でならない。
母はひたすら優しい美少女であったので、お飾り妻として体よくあしらえると思っていたら、思いのほかしっかり者で筋を通す人であったため、「こんなはずではなかった」と浮気に走り 浮気相手と一緒になって母の追い落としにかかったもののそれも失敗。
それというのも、リンド国王妃(当時)つまりは私の祖母は、スレイン国の宰相(当時)の娘であり
祖母の一族が、デッドの成り上がりに略奪結婚されてしまった母の身が建つようにと目を光らせていたからだ。
母方の祖父=リンド国王は皇太子を亡くし失意のうちに亡くなり、祖母=王妃も後を追うように亡くなり、リンド国の国政は混迷をふかめた。
そこに付け込むようにして、父は 母が継ぐはずであった遺産としてリンド国の領土の一部の割譲を迫ったものの、スレイン国の重鎮達が、リンド国王女の相続する土地はすべてリンド国王女の一人娘すなわち私が継ぐべきものであると宣告し、父には指1本ふれさせようとはしなかった。
そのことに激怒した父は、母を暗殺し、私に「尼寺へ行け」とせまったのである。
私を僧院に押し込め、私の相続財産を父の管理下に置くために。
そして私に子ができぬまま死んでしまえば 私の財産はすべて父方の一族の者になると考えて。
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