リゲルへ

君が夜空を見上げる

オリオン座が見えた

君が僕の方を見ると

瞳の中に星があった


君が夜空を見上げる

リゲルが強く輝いた

君が僕の方を見ると

瞳の中で僕は微笑む


君が夜空を見上げる

それが僕は恐くなる

君が僕の方を見ると

瞳には僕がいるのに


夜空を見上げる度に

君との距離を感じた

僕はそばに居るのに

瞳に映る僕は曖昧だ


君が僕の目の前から

見えなくなりそうで

君がこの夜に紛れて

消えてしまいそうで


ただ映り込む僕の姿

そっと映る僕の笑顔

君の瞳は何を見る?

本当は何を見たい?


君は言葉を発しない

僕は言葉にできない

君が僕を忘れてもね

僕は君を忘れないよ


オリオン座を見つけ

はしゃいでいた君は

あの頃の笑顔のまま

笑って僕を見るんだ


何十年月日が経って

君の笑顔は変わった

けれど僕にとっては

あの頃のままなんだ


あの一等星に願って

もう少しだけでいい

明るい幸せな時間を

与えてくれませんか


短い未来の僕たちに

一緒に過ごせる時を

穏やかに笑う日々を

与えてくれませんか


多く望みはしません

一緒に過ごせる時を

許されないのならば

一つだけお願いです


彼女が旅立つその時

手を握り見送る為に


僕にもう少しの時を

与えてくれませんか

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