第24話 回復の秘術の使い道
目を覚ましたら、ディーネに膝枕してもらっていた。スキル一覧を確認すると回復の波動と回復の秘術があった。
回復の秘術:失ったものを回復という形で取り戻す。取り戻すものによっては使用制限がかかる。
失ったもの……命とかかな? これは確実に使用制限が入るだろうけど強い。魔力も使い切った後なら回復させられそうだ。使い道はいくらでもある。これがディーネと契約した恩恵か……
今日は色々このスキルを使ってみよう。
俺は立ち上がった。何か見られている気がする。周囲に目を凝らしてみるとシルヴィがいた。木の陰に隠れこちらの様子をうかがっている。
「シルヴィ?どうしたんだ? こっち来いよ!」
俺は声を掛けてみるがプイと向こうを向いた。あ、怒ってる。
俺は好奇心で回復の秘術を使ってしまった。俺たちの友情を回復させるという形で回復の秘術を発動した。効果は劇的で、シルヴィはすぐにこちらに来た。
「大人の女の人とイチャイチャしてデレデレしてるエルビス嫌い! でも今回だけ許してあげる。」
シルヴィは怒りながらこちらに来た。これは失敗だった。本来はちゃんと誤って回復させるべきものを俺はズルをして回復させてしまった。少し鬱だ。こういう場合の使用は控えた方がいいだろう。
俺がぼーっとしてるのでシルヴィが俺の腕を掴んだ。
「あそぼ! あんな女ほっといてさ!」
そう言ってぐいぐい腕を引っ張る。だが俺はまだシルヴィに謝っていないことがある。
「シルヴィあの時守ってあげられなくてごめんな。間に合わなかった。」
頭を下げ誠心誠意謝った。
「いいよ、気にしないでエルビスが助けてくれたの嬉しかった。でもその代わり変な女がエルビスと契約してるけど。」
シルヴィがジトっとした目で俺を見る。
「ふん! ロリ幼女が! マスターに触るな! 穢れます!」
ああこの二人の喧嘩終わらないかな~俺が現実逃避のため遠くの木を眺めていると人影が見えた。っていうかカインさんだ。俺に気づかれたからかカインさんはこちらに来た。
「お前は、ひとり楽しくハーレム決めやがって許せねぇよ! 俺もマリアさんといちゃいちゃしてぇ!」
「あ、お姉ちゃんカインさんに少し興味があるって言ってましたけど……」
「そ、それは本当か! よっしゃ俺の時代が来たぜぇ」
ひとり喜ぶカインさんを置いてシルヴィとディーネが喧嘩を再開した。
「ディーネ喧嘩禁止!」
めんどくさいので禁止令を出した。
「ひどいです! マスターこいつを私は倒さないといけないんです。あ! 言っときますけど! 回復の秘術使って私たちを仲良くさせようとしても無駄ですよ!」
そりゃそうだろ……回復させるももの元から無いなら回復できないだろ
あ、そろそろ魔物退治の時間だ。浮かれて変な顔をしているカインさんを引っ張って村の外に向かう。
「じゃあシルヴィはここで待っててくれ、明日約束の街に行こう。」
「お供します。マスター私、戦闘技術はあるので。」
ディーネの言葉を聞いてシルヴィが反応した。
「私も行きたい!」
「ダメだ! この間あんな怪我したのにまだ付いてくるのか! せめて俺がシルヴィを守れるようになるまでは絶対許さない!」
そう言って村の門へ向かう。門を開けると黒魔種が10匹近くいる。最近本当に増えたよな。
森の中にフードを被った何かがいる! 戒しているとゾンビリッチが出てきた。リッチはファイアーボールを飛ばしてきたが『魔術支配』でそのまま跳ね返して当てた。
ゾンビリッチは魔術耐性が高いからあまり効果がない。
だが破壊属性を付与したファイアーボールを直撃させると吹き飛んで力付きた。あと9体!
「エルビス俺に任せろ! 今日の俺はウッキウキだぜ」
カインさんが嬉しそうに大剣をぶんぶん振り回している。そんなカインさんにゴブリンキングとホワイトウルフの黒魔種が飛び掛かってくる。
ゴブリンキングの攻撃を大剣で受け止めるカインさん。だがホワイトウルフ急に俺の方に走ってきて俺の左手を引きちぎった。
「エルビス! 大丈夫か……お前左手が……」
カインさんがオレを心配してくれている。苦痛完全無効があってよかった。痛みはあるが苦に感じるほどの痛みはなく冷静な思考を維持できる。
こいつら速度上昇(小)を使っても対応できないような速度で動いてきてどんどん強くなっているよな。
服は血だらけだ。新しい力を試すチャンスだ。
オレは残った右手で火の斬撃波をホワイトウルフに当て吹き飛ばした。そして回復の秘術を使用する。一気に体から何がが抜ける、対価は魔力か……残量魔力が少ない。だが無くなった腕が生えてきた。成功だ。
「エルビス、お前どうやった! なんでトカゲみたいに腕生えてきてるんだ!」
カインさんはゴブリンキングに蹴りを入れながらオレに突っ込んできた。
自分の魔力を回復できるか試してみよう
「がはっ」
一気に魔力を持っていかれ吐血した。魔力のサイクルはできないらしい。やばい死ぬ。
「マスター!私を忘れないでください。マスターの魔力は私が回復させます! 足止めもできます!」
ディーネが力を行使したようで力がみなぎる! 斬撃波に破壊属性付与をして飛ばし、ウルフを討伐した。
残りはオーク3体とトロール2体とゴブリン3体だ。
「カインさん! 龍魔法を使います。離れて下さい」
「おう!」
カインさんが離れるのを見て俺は、魔法を発動した。
『氷、龍魔法:アイスバレッド』
宙に浮いた巨大な龍が巨大な氷の散弾を飛ばし周囲一体は冬景色になった。そして残った魔物は氷像になっている。
「カインさんこの氷像をばらばらにして終わりです」
「おうよ、なんか……簡単だな……ていうかエルビスやりすぎだ。たしかに今は冬だがさっきまで雪なんか積もって無かったぞ」
カインさんが怒りながら氷像に大剣を振り粉々にする。今日の仕事はこれで終わりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます