第22話 精霊の泉の精霊ディーネ
「そりゃあ私たちは一心同体みたいなものですし。仮の契約しかしていないとはいえそれくらいできますよ」
青髪の精霊はそう言った。
取り敢えず、脳内の会話はやりずらい。話せるようにできないか?
「できます。少々お待ちください。」
そう言った瞬間、光の入らない回復の泉に光が生まれた。そして、洞窟にみっちり詰まっていた水が引き、呼吸もできるようになった。さて、聞きたい事を聞こう。なんだかわからないがすごいな。
「まず一つ目お前は誰だ?」
そう聞くとディーネはそこそこに大きい胸を張り自慢げに答える。
「私は、ディーネと申します。エルビス様の契約者? 配下? まぁそんな感じです。しっかりと私との契約ができたら契約者が言葉としては最適になるんですかね? あ、この泉の精霊です! マスターの望む回答になりましたでしょうか?!」
言いたいことが多かったようで、多少早口になりながらディーネはそう言った。
もう少し整理しよう。なるほど、この子はディーネ俺の狩りの契約者でこの回復の泉の精霊だと……
「二つ目契約とはなんだ?」
「あれ? 勇気の波動ってスキル持ってませんか? あれが契約のために必要なんですよ? まぁ勇気の波動は勇気の泉に対して効力を持つスキルなので私との契約には別のスキルが必要ですが」
おお、あのスキルの謎が解けた。仮の契約とはつまり俺が回復の波動を持っていないから仮の契約をしていると言うことだな。
「3つ目、契約するにはどうすればいいんだ? あと勇気の波動の取得条件は?」
俺はどんどん質問する。その質問に淡々と答えていくディーネ
「エルビス様の持っているその剣が文字通りのカギですよ? 勇気の波動の獲得条件はその剣を手にして勇気をもって敵に立ち向かう。ただそれが条件ですマスター。
あと私との契約方法は、その剣を持って回復行動をするだけですね。ちゃんと剣を抜いて発動しなきゃ駄目です。簡単って思いました? まずその剣を入手するのが難しいのでそれくらいが妥当なんですよ。なんて言ったって世界に一本しか無い剣なので!」
なるほどこの剣を買ったのは正解だったのか?
「4つ目、俺はお前との契約のためのスキルは持っていないのになぜマスターなんだ?」
「簡単です! ここに訪れる人間は過去一度も来ませんでした。契約にはその泉に訪れる必要があります。つまり訪れることが契約の条件です。そのひとつ目をクリアしたので仮という形ですがマスターになりました。とか理由を付けましたが単純に私が気に入ったからです」
「なるほど、じゃあ出してくれるか? この泉から」
ある程度分かったので帰ろう思いディーネにそう言うと急に焦り始めた。
「なんで、どうしてですか! 2年半前に勝手に抜け出して帰ってきたと思ったらまたどこかへ行っちゃうんですか! だめです。許しません。せめて私と本契約してから行きましょ? ね?」
そんな事を言われてもシルヴィが……シルヴィを治さなくちゃそう思っているとディーネが抱き着いてきて質問をしてくる。
「私とその女どっちが大切なんですか?」
「そんなのシルヴィに決まっているだろ! 今日であった訳わかんない精霊よりずっと大切だ。後、頭の中読み取るのやめろ!」
ディーネはショックな顔をしている。仕方ないだろシルヴィの方が大切だ。
「そんな……私は……半年間も一緒にいたじゃないですか! 姿を見せなかったのがいけなかったんですか? 私は、あなたを眺めていればそれでいいのに! いいですもん。出しませんもん! もうずっとここで過ごしてもらいますもん」
なんかわかんないけど、すねちゃった。不貞腐れて地面を蹴っている。諦めて斬撃波を破壊造成を込めて飛ばした。破壊属性付与の制限時間ギリギリだ。
「ふふ!無駄ですよ!絶対出しませんもん!」
かまわず天井に斬撃波を飛ばす。何度も殴るするといつものアナウンスが聞こえる。
『破壊属性付与(特大)に特殊効果付与 (貫通)が付きました。』
そのまま破壊属性付与に貫通を付与して思いっきり斬撃波を飛ばした。破壊属性の攻撃が貫通し一気に天井が崩壊する。だが俺の方は体に激痛が走りそれどころではない。
破壊属性付与に貫通がを付けたせいで剣から破壊属性が俺に帰ってきたようだ。
回復の泉の回復ですら、癒せない痛みが走った。10分ほどして痛みが治まる。苦痛完全無効を突破しているというのはどういうことだ? 破壊属性が苦痛完全無効を無効化している可能性がある。
つまり……破壊属性は諸刃の剣ということだ。苦痛を感じている間は苦痛完全無効が無効化されているのだろう。その間に受けた痛みは普通の人と同じ様に痛みを感じるということだ。
クッソ痛かった。もういざという時、以外破壊属性に貫通をつけるのはやめよう。
さて出るか……土魔法を使って坂を作り出し俺は、泉から出ようとした。するとディーネが俺の足を掴んだ。
「ちょちょっと待って! お願いです。嫌です。行っちゃ嫌です!」
ぐっ.....シルヴィみたいな反応をされると弱い。
「じゃ、じゃあ付いてくるか」
「い、いいんですか? 付いていきます!」
「そうか、じゃあ行こう! 急いでいるんだ」
「あ、待ってください! その剣に宿るので貸してください。」
? まあいいか。そう思い剣を渡すとディーネは剣に吸い込まれるように消えた。剣を鑑定すると精霊の宿リし剣と書いてあった。
「じゃあ行きましょう。主様」
剣から声がする。さてと色々あったが急いでシルヴィを助けに行こう! 俺は泉から出た。
「エルビスか? こんな所で何してるんだ? シルヴィちゃんは治ったのか?」
カインさんが俺に声を掛けてきた。帰ってこないと思ったがこんな所にいたのか
「何してるんですか? カインさん」
「ああ、ここら辺に回復効果のある泉が存在したって話を聞いたことがあったんだ」
「私のことですか?」
ディーネが剣から出てきた。
「うおっ何だその子……突然出てきたぞ?」
「あ、回復の泉のディーネです。仮ですけど契約しました」
「な、お前はどれだけすごいことをしたのかいつもどおり自覚も無いんだろうな。だがそうか……彼女が居ればシルヴィちゃんは治る」
半笑いのカインさん、だが目だけはしっかりとしている。
「カインさん怪我してるじゃないですか。治します」
一応剣を抜いてカインさんを回復した。その後、俺とカインさんは村に向かって走り始めた。急いでシルヴィを助けたい!
行きより短い時間を掛け俺達は村についた。シルヴィの家に駆け込み扉を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます