第31話 二十七階層
黄色いヒヨコ…ではなく黄色いオナガドリ…でもなく黄色いフェニックスの幼鳥となったモモ。まあ見た目はほぼヒヨコなんだけどな。
再生能力のあるヒヨコか…。きもち…。
「なんか失礼な事考えていません?」
「いや?」
顔に出ていたか?
ヒヨコの時よりジト目が上手くなったか?ああ…。スリムになった分目つきが鋭くなったからか。
「さて、どうするか。一応の目的だったモモのレベル上げはとりあえず達成したけど、魔法スキルが出てないんだよな」
「ガーゴイルは倒すの楽ですし、もう少し狩りません?進化したからってレベル上げなくてもいいってわけじゃないですし」
「そうか…そうだな。もう少し粘るか。でも…その前に休憩だな。魔力を使いすぎてるし」
そういうわけで体感で二時間ほど休憩する。魔力満タンってわけではないと思うが気怠さもないし大丈夫だろう。
そしてまたガーゴイル狩りをする。モモが進化してどれくらい強くなったか見たかったが俺に突っ込んできた奴に俺が水魔法で足止めして、モモは水をかけるだけの作業のため違いがわからん。
「あ!【飛行魔法】が出ましたよ!!」
おお…何十匹目…いや百何十匹目かわからないがやっとでたか…。もしかしたら二百くらいは倒しているかもしれない。
「なあモモ。すんごく腹が減ってるんだが…だいたい何時間ガーゴイル狩りしてたかわかるか?」
「一日と半日くらい、ですかね?」
三十六時間…。本当この身体どうなってるんだ…。腹は減っているが朝飯を抜いて午後まで食べていない時くらいの感覚だし、疲れは感じるが眠くて仕方ないってわけでもない。まあ水分は大分とっているが。
「【飛行魔法】も出たし降りるか…。次の階層には食べられるものをドロップする奴がいて欲しいとこだな」
「【飛行魔法】の実験と練習はいいんですか?」
「うーん。すぐに試したい気持ちはあるんだが、ここで練習を始めたら多分また時間を忘れて何時間も経ちそうだし。流石に何か食べたいしな」
「了解です!」
そして大分前に見つけていた階段へと向かう。たまに道を間違えたがなんとかたどり着いた。
階段を降りた先は二十五階層と同じ広大な階層だった。趣は全然違うが…。
頭上にある大きな発光花は二十五階層のように燦然と光っているわけではなく光が弱く少し薄暗い。
そして木は一本もなく、地面に関しては壁際には草が生えているが壁から数メートル離れたとこには生えていない。ザッと見る限りこの階層の八割、九割は湿地帯だ。地面は泥濘み所々に水溜りのようなものがある。
「ああ。確実にリザードマンですね。それ以外にこう言った場所で活動出来そうな魔物は二十一〜三十階層に出る魔物では思いつきません」
「前はわからない、というか上手く記憶を引き出せないみたいなことを言っていたが、二十七階層含めて残りの四階層に出てくる魔物がわかるか?」
「はい!後四種ですからね!ちゃんと思い出してますよ!リザードマン、オーガ、ウェアウルフ、ミノタウロスです」
「確かにその中だとこの湿地帯を住処にしそうなのはリザードマンか。一応キクがどの階層に何奴がいるかはわからないんだよな?」
「はい…。でもミノタウロスってなんかボスっぽくないですか?」
「それを言ったらオーガだってウェアウルフだってボスキャラ扱いのゲームとかあるだろう」
「じゃあわからないです!何がボスかはお楽しみですね!」
「楽しみ…ではないな。魔法を使う魔物ならスキルペーパーを期待して楽しめるんだが…」
「でもミノタウロスのお肉は凄く美味しいらしいですよ?」
「そうなのか!少しだけ楽しみになったな。ちなみにリザードマンって肉をドロップするか?」
「しますね」
「美味しいか?」
「美味しいらしいですよ?ただミノタウロスのお肉もそうですけど、ちゃんと調理をすれば、ですが」
そうだよな…。まあ焼いただけでも腹には溜まるか…。
ミノタウロスの肉が一気に楽しみじゃなくなった。塩とか胡椒とかドロップする魔物いないのかよ。調味料と白米とバーベキューセットが欲しい。まあバーベキューセットなんてドロップしたとこで持っていけないんだけどな。肉すら放置しているんだから。
ダンジョンってもっと準備して潜るべきだよな…。バックパックみたいなのに水や食料、テントや日用品。後は武器とかをしっかり用意した上で潜りたい。
まあ階段を下っていく選択をした時点で今更なんだが。
というか…ブロック肉とか生魚のサクとかがドロップするなら焼いたやつもドロップしろよな。全く気が利かないダンジョンだ。
まあすでに焼いてある肉がドロップしたらしたでキモいが。
「あ、そうそう。魔法スキルはどうだ?」
「リザードマンもオーガもウェアウルフもミノタウロスも魔法は使わないので基本的にドロップしません。まあどんなスキルでもドロップする可能性はほんとーーに僅かばかりはあるみたいですので何百何千と倒せばもしかしたら出るんじゃないですかね?まあ限り無く低い確率ですね」
「じゃあ階段を見つけたらどんどん降りて行こう。危なくないなら戦闘に参加してくれ。一撃でもダメージを与えられれば経験値はいるだろう?」
「はい!バンバン魔法撃っちゃいますよ!」
「まあ魔力切れにならないようにな…」
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